高島洋一は、高島恵子の二卵性の姉弟だ。孤児だった二人は高島家に養女に迎えられた。高島家当主、高島幸伸は長男が生まれたばかりだった。しかし、難産で妻の美由紀は子供の産めない体になってしまった。どうしても女の子が欲しかった美由紀は、女子を養女にしようと考えた。洋一と恵子の兄妹の中では、洋一は不要な存在だった。でも、洋一は妹、恵子と離れることがどうしても嫌だった。妹、恵子と離れることは嫌だと泣いて幸伸に頼んだ。
絶対にだめだ、幸伸は言った。
恵子は、兄と一緒でなければ嫌とわがままを言った。
幸伸には、恵子は他の子と比べて、優秀な子であることを見抜いていた。
物覚えの良さや、周りをよく観察していること。利発な子だった。
こんな優良物件はないと思った。きちんと育てれば、高島家の財産になる。
そんな時に、事故があった。同じ年の孤児院の女の子、2歳年下の茜ちゃんが亡くなったのだ。
不慮の突然死だった。
「洋一君、亡くなったは洋一君ということにしよう。洋一君が茜ちゃんと
入れ替われば、女の子になるのなら、お姉さんと一緒に養女にしてあげるよ」
「お兄ちゃんは男の子、そんなことはできないわ。それに茜ちゃんは2つも年下よ」
幸伸は洋一の目をじっと見つめた。
「わ、わかった。女の子になれば、恵子とずっと一緒にいられるんだね。本当だね。本当に本当だね」
「ああ、本当だ。君が茜ちゃんになるなら、私の家に養女として迎えてあげる。妹とずっと一緒だ」
「だめ、そんな約束をしちゃ。洋一は男の子。女の子になるなんて絶対にだめ。私はこの話、お断りするわ。」
「女の子になっても恵子と一緒にいたいんだ。ここでお別れしちゃうのは嫌だ。高島さんはすごいお金持ちだし、恵子は絶対幸せになれる。でも、僕も恵子から離れたくない」
結局、洋一は、高島茜として、幸伸の養女になった。その年のうちに、玉は取られてしまった。もう、男性ホルモンを分泌することはなくなった。中学の終わりまでは、男としての生活を許された。しかし、男性ホルモンを分泌しない洋一の体は女みたいだった。声変わりもしなかった。
洋一は高島家の親戚の宮城の家に預けられて、男の子として育てられた。小学生の頃は、みんなと野球をするような元気な少年だった。しかし、中学生になると、男の子は男らしくなっていく。それに比べて、洋一は女の子みたいだった。周りの男の子との体力差も大きくなっていき、サッカーや野球についていけなくなった。それでも、勉強だけは頑張った。
中学2年生あたりから、少しずつ女性ホルモンが投与され始め、少しづつ体は女性化していった。3年生になると、乳首がぷっくらし、水泳の授業は見学になった。3年生の最後の3学期を迎える頃にはすっかり女の子らしくなり、学校を休みがちになった。勉強はいい成績をあげていたので、卒業は問題なかった。
高島幸伸が宮城の家にやってきた。
「洋一、中学を卒業したら、東京の私の家で茜として暮らすことになる。ただし、茜は2歳年下。お前は中学2年生からやり直しだ。中学2年生の女子として中学校に転入するのだ。春には手術をするから1学期の途中からになる」
宮城の家の畳の応接間でテーブル越しに洋一と面と向かって座っている幸伸が言った。
「中学2年生?」
あまりのことに、洋一は頭が真っ白になった。
「そうだ。茜は2歳年下だからな。女になるっていったろう。もう、洋一の戸籍はないんだ。お前は高島茜なんだ」
宮城の中学校では、男子の世界で暮らしてきた。女子の世界は全く別の世界だった。それは洋一には全くわからない道の世界だった。これからは女子として、女子の世界で暮らして行かなければならないのだ。それもまた、中学生をやり直さなければならないのだ。女子としてやっていけるのだろうか。
「僕は恵子の妹になるんですか?」
「ああ、恵子はお前と同じ年で春から高校生だ。茜は2歳年下。だから中学2年生で、恵子の妹。お前が承知したことだ」
確かにあの時、洋一は妹の恵子と暮らすために、茜になる約束をしてしまった。洋一に選択の余地はなかった。
3月の半ばに、洋一は東京の妹、恵子のいる高島のお屋敷に引っ越してきた。妹と一緒に暮らせるのは嬉しかったが、これからは女の子としての生活が始まるのかと思うと、すごく不安だった。
荷物は何も持たず、東京に行くことになった。東京駅で妹の恵子が待っていた。
今の洋一は当然に恵子よりも背が高い。男子の中では一番小さいほうだが、それでも160センチはある。妹がやってきて洋一を見上げた。
「やっと一緒に暮らせるのね。女の子のことはいろいろ教えてあげるね。お兄ちゃんは妹になっちゃうんだね。これからはお兄ちゃんっては呼べないね。妹なんだから、茜って呼ばないと変だよね」
そう言って、洋一の手を引いて、駐車場に向かった。そこには大きなリムジンが止まっていた。恵子は後部座席に乗り込み、洋一の手を引っ張った。2人が乗り込むとリムジンは出発した。
リムジンは都心を抜け、郊外に入っていく。長い時間走り、ある長い黒塀の続くお屋敷のところでスピードを落とす。
「ここ。ここだよ。高島のお屋敷は」
長屋門を過ぎると、塀のそばに車が止まる。塀のシャッターが開き、大きな駐車場が現れる。リムジンはそこの専用の場所に止まった。
「お嬢様たち、つきましたよ」
そう言って、運転手は後部座席を開けてくれた。
洋一が降りると、恵子が降りてきて、手を引いて、お屋敷の玄関に向かった。
「さあ、着いたわよ」
玄関のインターフォンを押すと、玄関のガラスの引き戸が開き、女の人が現れた。
「お母様の瞳さんよ」
「始めまして。洋一です。よろしくお願いします」
「茜ちゃんね。これから、ここでは茜ちゃん。恵子、茜に女の子らしい格好をさせなさい。さあ、中に入って」
洋一は中に通された。
「着替えたら、広間に来てね。お父様が待っているわ」
はい、と恵子が返事をした。
「私の部屋で女の子の服を着せてあげるわね。姉妹だから部屋は一緒」
そう言って、恵子は洋一の手を引いて、自分の部屋に連れていった。女の子らしい部屋だった。ベッドは天蓋付きのキングサイズのベッドだ。壁にはクローゼットがある。
「下着は私のを使って。お胸もだいたい一緒よね。まずは裸になって」
「は、恥ずかしいな」
「だめよ。ここではもう男物は着られないんだから」
仕方なく、洋一は裸になった。洋一は女性ホルモンの影響で、きれいなお椀型のAカップぐらいの胸をしている。肌は白くウエストはくびれている。お尻は女の子みたいに大きい。股間に小さなペニスが付いている。
恵子はクローゼットから可愛らしい下着を取り出し、洋一に渡してきた。仕方なく受け取りショーツを履いた。初めてのブラは、恵子がつけてくれた。
「私は今はB。でも、Aの頃のも捨てずに取ってあるの。茜はこれくらいかなと思って」
洋一が下着をつけ終わると、恵子はピンクのキャミをとり出して洋一に着せた。白い襞のあるブラウスと紺のスカートを出して着せた。
「これから茜は、ずっとスカート生活よ。慣れないとね」
そう言って、恵子はにっこり笑った。恵子は洋一を三面鏡の前に座らせると髪をすいた。三面鏡に映る洋一はまるで、ショートヘアの女の子のようだった。支度が整うと、恵子が洋一の手を引いて広間に向かった。高島幸伸と瞳が待っていた。
「茜。これからはここで暮らすんだ。手術が終わったら、中学2年に転入だ。茜は私たちの娘だから、同じように可愛がってあげる。服もなんでも買ってあげる。甘えてもいいんだぞ。あとで、兄の幸一を紹介する。大学生で忙しいんだ」
洋一の茜としての生活が始まった。完全に女になる手術は1週間後に決まった。洋一の着てきた男物の洋服は、ゴミとして捨てられてしまった。着るものは女性ものしかなくなった。
「今日は女同士でお風呂に入りましょう」
「まだ、俺は男だぞ」
「どこが男らしいの?もうすぐ、すっかり私と同じ体よ。私は気にしないわ」
一緒にお風呂に入ることになった。お風呂はすごく広かった。Bカップの恵子の胸は洋一よりもいくらかぷっくらと大きかった。お尻も太ももも大きかった。洋一がじっと見ていることに気がつくと、にこっと笑った。お風呂ではお互いの体を洗いっこした。洋一のペニスはもう立つことはない。ただの飾りだった。二人は一緒に湯船に浸かった。
「茜が来てくれてうれしいわ。久しぶりに姉妹同士。もうお兄ちゃんじゃなくて茜って呼ばないといけないのね」
「中学2年生からやり直しなんてすごく不安だ。女子中学生としてやっていけるかな?」
「一度は卒業したんだから勉強は大丈夫。体も女の子としては大きい方よ。女の子とお喋りすれば、すぐに仲良くなれるわ。あまり心配しないで。私も
いろいろ相談にのってあげるから」
そう言って、恵子が抱きついてきた。妹の体は柔らかく、いい匂いがする。その夜は恵子の部屋で髪を乾かし、洋一は女の子らしいパジャマに着替えて、大きなベッドに潜り込んだ。ベッドは恵子の甘い匂いがする。洋一は恵子の匂いに包まれて、恵子と一緒に眠った。
1週間後に手術が行われ、洋一のペニスは解体され、新しい膣穴が穿たれた。洋一は、茜になった。