第10話 ゆいなの学園生活

4月はまだ肌寒く、慣れないスカートは心もとなかった。本来であれば、ゆうみと同じ大学生であるはずのゆいなは、年下であるクラスメイトの女子とどう接すればいいのかわからなかった。ここは女子校。クラスメイトは女子しかいないのだ。それにゆいなはかつては異性だったのだ。

あたりを見回すと女子同士のグループがすでにできている。ゆいなは女子のグループに入れるか不安だった。でも、心配は無用だった。ゆいなはどこからどうみても可愛らしい女の子だ。

ゆいながトイレに行こうと立ち上がって、カバンから生理ポーチを取り出したときに、二人の女子が声をかけてくれた。

「一緒におトイレにいこう!」

二人も可愛らしい生理ポーチを見せてくれた。ゆいなはおなかがチクチクと痛く、そろそろ生理になりそうだった。気分もよくない。腰も痛い。いつ生理になってもいいように、今朝からおりものシートを生理用ナプキンに変えたのだ。

「私は楓。星野かえで。こっちは朱美。石田朱美。よろしくね」

「朱美です。よろしく」

「私はゆいな。西本ゆいな。よろしく。声をかけてくれてありがとう」

「一緒にいこう」

かえでがゆいなの手を引っ張った。小さくて暖かい手だ。

「ゆいなはかわいいよね」

そういって、朱美が腕を絡ませてくる。3人一緒に女子トイレに入る。個室は4つ。一つ埋まっている。

「それじゃあね」

そう言って、それぞれ個室に入る。ゆいなはショーツを下ろした。生理用ナプキンが真っ赤に濡れている。生理が始まったのだ。ナプキンをぺりぺりと剥がし、汚物入れに捨て、新しいナプキンに張り替える。そして、かがんでおしっこをする。クリトリスのちょっと下に穿たれたおしっこ穴からじょろじょろとおしっこがでる。おしっこホースがなくなって筋肉だけでおしっこを調整できるようになっていた。尿道がみじかくなった分、トイレが近くなった。おしっこがおわるとトイレットペーパーで陰裂を丁寧にきれいに拭く。

ゆいなが個室をでると、かえでと朱美が待っていた。

「生理なの?」

朱美がきく。

「う、うん。今朝から生理になっちゃった」

「私もそろそろ」

かえでがいう。

かえでと朱美とはすぐに仲良くなった。女同士は距離が近い。ぺたぺた触ってきたり、抱きついたりは当たり前だ。かえでや朱美に抱きつかれると、甘い女の匂いが鼻孔をくすぐる。それはゆいなも同じだった。ゆいなも若い女子特有の甘い匂いがするのだ。

体育の時間は、女子更衣室で着替える。ゆいなは女子たちのなかで体育着に着替えるのにドキドキした。ほとんどの子が白かベージュのブラをつけている。そして可愛らしいショーツを履いている。つい目がいってしまう。ゆいなもブラウスとスカートを脱いで、体育着に着替える。

初めての女子としての体育は、体力測定だった。

100メートル走を走ったが、ゆいながかつて男だったという利点は全くなかった。ゆいなはそれほど速くはないが、遅くもないという女子としては平均的なレベルだった。遠投も走幅跳も走高跳も、女子としては平均的な値だった。ゆいなはすっかり女子だった。

6月にプール開きがやってきた。ゆいなは女子と一緒に更衣室でスクール水着に着替える。女子更衣室ではほかの女子が裸になって、白い乳房やお尻を晒している。でも、ゆいなはもう他の女子の体をみても興奮しなかった。ゆいなも裸になって、脂肪がついてすっかり女らしくなった体にスクール水着を身につけた。男性とちがって、小さな水着がいっぱいいっぱいに広がって体にぴたっと張り付く。クロッチ部分が陰裂にぴたっと密着する。

かえでや朱美も同じように体にぴたっとはりついた水着をきている。

ゆいなはもうすっかり女子だった。男だった時の目で女子をみることはない。同性という目で女子を見るようになっていた。かえでや朱美やクラスメイトともすっかり女子同士として馴染んでいる。

プールでは女子同士として触りっこをしたりしてふざけあったりしている。

ゆいなには、豊だった頃の記憶は遠いものになっていた。今はすっかり女子になっていた。

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