SMその5

悦子は士郎と住む自宅のマンションに戻ってきた。悦子は源之助に地下牢に閉じ込められて調教を受けるときと、公康に別荘で吊るされるとき以外は、暇な専業主婦だ。いつかは腹に埋め込まれた本物の悦子の子宮を使って妊娠させられることになるが、それはすぐにではない。悦子の子宮はまだ20代前半だ。妊娠したら吊るされたり調教を受けたりすることはできなくなってしまう。腹はぽっこり膨らみ、乳房は大きくなり、乳輪は広がり、乳首は哺乳瓶の吸い口のようになるのだ。女性ホルモンだけで膨らんだ乳房から乳が噴出するようになるのだ。

悦子は美しさを保つためにジムやエステに通わされている。化粧品などの美容にかけるお金は使い放題だ。悦子は女になって、女とはお金のかかる生き物なのだと思い知った。化粧にかかるお金は男の髭剃りの比ではない。化粧品の種類は無数にあり、女であれば必ずそのどれかを使っている。かつての悦子も多くの高級な化粧品を使っていた。その匂いが悦子の匂いになっていた。今の悦子はその化粧品を引き継いで使っている。体からはかつての悦子と同じ匂いがするようになっている。本物の悦子になったのだ。

 今日の悦子は、すっぴんで葉山百合子を待っている。かつての恋人、そして悦子を騙した女。でも、今は仲のいい親友同士だ。百合子が悦子に化粧や女の所作を教え、女の世界への道を開いてくれたのだ。

 午前中は一緒にジムに行き、昼食を食べて午後はエステ、悦子のマンションに帰宅して二人でまったり過ごす予定だ。悦子は春物の薄いイエローのフレアスカートにフリルのついた長袖の白のブラウスを着ている。ダイニングテーブルで待っているとインターフォンが鳴った。百合子が来たのだ。悦子は急いで玄関へ向かった。玄関のドアを開けると、百合子が、おはよう、と微笑んだ。淡いブルーのワンピースを着てベージュのパンプスを履いている。

 おはよう。待っていたわ。すぐに出かけましょう。楽しみにしていたの。

 私も。悦子に会えるのを楽しみにしていたわ。一緒に行きましょう。

 悦子は玄関でオレンジのパンプスを履いて、細いチェーンのバックを肩にかけて玄関の外に出た。百合子は悦子の細い手を握った。かつての男らしかった手は細いガラス細工のような手に改造されている。悦子は百合子に手を引かれてエスカレーターに向かった。エスカレーターに乗り込むと悦子がB2を押す。いつも百合子はB2の悦子の駐車場に自分のジャガーを止めている。悦子は免許証はもっているが、車は持っていない。免許証は以前の悦子のものだった。それを今の悦子が身分証明書として使っている。百合子が運転席に乗り込むと、悦子は助手席に乗り込み、女らしく足を斜めに揃えた。もう座るときに股を広げることはないのだ。悦子がシートベルトを締めると、百合子がベージュのパンプスでアクセルを踏んだ。ジャガーがゆっくりと動き出す。ジャガーは地下駐車場の暗がりから明るい春の午前の日の中にでると、車道に合流しそのスピードを上げていった。ジムは近くにある。会員制の高級ジムで顧客は富裕層のご婦人方だ。20分ぐらいでジムに着く。広い駐車場が完備されている。百合子は車を入り口の近くの駐車場に止めた。

悦子と百合子はジムの中に入っていく。受付の女の子が微笑みかける。悦子はバックからゴールドの会員証を取り出して受付の女の子に見せた。百合子も同じようにする。ここの会員であることは間違いなく、受付の女の子とも顔なじみなのだが、一応これは儀式なのだ。ここのゴールドの会員証をもっているということはステータスでもある。悦子は女の子の使っている化粧品が気になった。チークが少し落ち着いた色合いになっている。ファンデーションを変えたのだろうか?男だった時は、女の子の顔や容姿に目がいった。しかし今や彼女は同性なのだ。どんな化粧品を使っているのだろうかなどとつい考えてしまう。もう悦子は男の立場にはいないのだ。

 悦子と百合子は女子更衣室に入っていく。会員として専用のロッカーが確保されており、ウエアなどはジムのクリーニングサービスにより持ち帰る必要がなくなっている。出入りするクリーニングサービス業者は女性だけで安心だ。悦子が最初、女子更衣室に入っていく時はドキドキしたものだった。なにか場違いなところに来ている感じがした。しかしもう男子更衣室にははいれない。そんなことをすれば痴女だと思われてしまう。悦子は次第に女子更衣室に入ることに抵抗がなくなっていった。そうして悦子は女の世界に足を踏み入れたのだ。もう男の世界には戻れないのだ。女子更衣室では若奥様風の女たちが数人着替えをしている。乳房や陰部を隠すこともなく堂々と着替えている。悦子はもう彼女たちと同性であり、同じ体をもつ女なのだ。悦子と百合子はそれぞれのロッカーに行き、鍵を開けた。ロッカーにはクリーニングしたてのスポーツブラ、シャツ、短パン、スイムウエア、キャップ、アンダーショーツが専用の半透明のビニール袋に入れられてはいっている。悦子は着ているブラウスを脱ぎ、スカートを脱ぐ。フリルのついたブラを脱ぐと色白のつきたての餅のような乳房が溢れ出る。ロッカーに置いてあるスポーツブラを柔らかい乳房に押し当て、後ろ手でブラホックをとめる。普通のブラでは乳房が動いてしまい、運動しづらいのだ。短パンとシャツを着る。百合子もまだ堂々と着替えている。

 悦子はまずトレッドミルにのり、30分ぐらい汗を流す。白い女体がぐっしょり汗で濡れ、ブラもショーツも汗でぐっしょりとなる。息を吐きはあはあいっている。悦子はタオルで流れ出る汗を拭った。

 百合子、疲れた?

 ええ、すごく。喉が乾いたわ。スポーツドリンクを買ってくるわね。

 次はエクササイズよ。ドリンクは1本だけでいいわ。二人で飲みましょう。

 百合子が微笑んだ。悦子は女子更衣室に戻り、ロッカーを開けてバックからシャンパンゴールドの長財布を取り出した。小銭の120円だけを取ると、財布をロッカーに戻して鍵を閉め、廊下にある自動販売機に向かった。120円を入れペットボトルのボタンを押す。ガタン、とペットボトルが下の取り出し口に転がった。悦子はそれを手に取ると百合子の元に戻った。悦子がキャップをあけて一口飲むと百合子に手渡した。百合子はそれをなんの躊躇もなく受け取ると、ごくごくっと飲んで悦子に手渡した。

ああ、おいしい。一息ついたわ。

 悦子は、百合子の唾液のついたペットボトルを受け取るとそのまま口に持っていき、ごくごくっと喉に流し込んだ。女同士、お互いに口をつけたペットボトルを飲みあうことなどなんでもないのだ。悦子は百合子と同じ女なのだ。

 本当に、美味しいわね。百合子、これからエクササイズがんばりましょう。

 悦子は百合子と一緒にエクササイズに戻った。数人の若い女たちが一緒だ。全部で10名ぐらい。何人かは顔見知りだ。芽衣奈と由美がこちらをみて微笑んでいる。二人は悦子がこのジムに通うようになってできた友達だ。悦子には男の友達はいない。友達といえば女だ。それは悦子がすでに女だからだ。女のコーチのもとで2人で一緒に汗を流す。部屋中に女の汗の匂いが充満する。悦子の汗もまた女の匂いがする。30分かけて、たっぷり汗を流す。エクササイズが終わると、悦子と百合子は壁際に座って、タオルで流れる汗を拭いた。芽衣奈と由美がやってくる。

 どう、元気?

 芽衣奈が話しかけてくる。

 元気よ。芽衣奈と由美はどう?

 相変わらずよ。これから私たちはスイムよ。あなたたちは?

 私たちもよ。一緒に泳ぎましょう!終わったら一緒にお食事はどう?

 由美がいうと、いいわね、と百合子が言った。悦子と百合子はときどき芽衣奈と由美と一緒に昼食をとっている。二人は美しい人妻だ。そして悦子には女の世界に入って初めてできた友達だ。女の友達といえば当然に女性なのだ。もう男の友達ができることはない。4人で女子更衣室に戻ると、それぞれがロッカーを開けてスイムウエアを取り出す。

 まずは、シャワーを浴びましょう。体が汗でべとべと。

 そうね。スイムウエアを持っていきましょう。シャワーを浴びたら、着替えてプールよ。

 楽しそうに芽衣奈がいう。全員がスイムウエアとアンダーショーツ、大きなバスタオルを持って女子のシャワールームへ向かう。悦子は男子のシャワールームを横目に女子のシャワールームに入る。もう男子のシャワールームがどうなっているか知るすべはないのだ。シャワールームも高級なジムだけあって、大理石を使ったゆったりした豪華なつくりになっている。シャワーブースはそれぞれ区切られていて10個以上ある。正面は半透明のガラスで、膝上から肩が隠れるくらいのスイングドアになっている。さっき一緒にエクササイズをしていた子がシャワーを浴びている。悦子は着ているシャツと短パンを脱いで、片側の棚に放り投げた。スポーツブラを外し、ショーツを脱いで、棚に置く。大きなバスタオルをもってシャワーブースに入る。ドアにバスタオルをかけ、シャワーの温水の方をひねる。悦子の柔らかな女体は汗でべとべとだった。暖かいシャワーが汗を洗い流す。気持ちがいい。全身をくまなく洗い、長い髪も洗い流す。陰部も汗でムンムンしている。無毛の陰部にもシャワーをかける。全身を綺麗に洗い流すと、バスタオルで体を丁寧に拭いていく。なだらかなお椀型の柔らかい乳房を拭き、乳房を持ち上げてその下をきれいに拭く。乳房の下はきれいに拭かないとあせもができやすいのだ。腰を拭いて、陰部、お尻と拭いていく。お尻は男だった時と違ってまるく大きくなっている。体を綺麗に拭き取るとシャワーブースをでる。髪はこれからスイムなので乾かさない。棚には、もってきたアンダーショーツとスイムウエアが縮まっている。悦子のスイムスーツはオレンジ色だ。小さなアンダーショーツに両足を通しお尻まで引き上げる。次に縮まっているスイムウエアを手にとって広げて、二つの小さな穴に足を通す。両足を通してお尻まで引っ張り上げる。女のスイムウエアは本当に小さい。それを引っ張り上げて体にフィットさせるのだ。悦子は最初、その感覚になれずスイムウエアを着ることが不快だった。今ではすっかり慣れてしまった。女である以上、これ以外の選択肢はないのだ。スイムウエアをお尻まで引っ張り上げてきれいにお尻の形に沿わせると、肩ひもに両腕を通し、乳房の形に沿わせる。これで完成だ。百合子も芽衣奈も由美も白くて美しい乳房を丸出しにし、お尻にスイムウエアをぴったりと沿わせてから、肩ひもを両腕に通している。

 いくわよ。まずは更衣室でキャップを取ってこないと。

 由美が言う。全員で女子更衣室に向かいロッカーを開けてキャップを取り出すと、それぞれゴムで長い髪をまとめてキャップに押し込む。それぞれ支度ができるとプールに向かう。プールサイドで軽く準備運動をしてからプールに入る。プールは25メートルだ。一番脇のプールレーンでゆっくりウォーキングをする。数往復すると、百合子が、隣のレーンで泳ぐわよ、そう言って隣のレーンに行ってしまう。悦子も隣のレーンに行って、クロールで百合子の後を追った。芽衣奈と由美もウォーキングをやめて、百合子と悦子たちの泳いでいるレーンの中央に近い隣のレーンに移動する。悦子は25メートルを往復して戻ってくるとトイレに行きたくなってしまった。プールから上がり女子トイレに向かった。個室に入ると、スイムウエアの両肩を外し、股のクロッチをアンダーショーツと一緒に下にずり下げる。中腰になりクロッチを横にずらし無毛の女性器を露出させると、寒さで女性器をぺっかりと塞いでいる小陰唇を左右に広げて、クリトリスと膣穴の中央付近に穿たれた小さな尿道口を露出させた。そのとたんじょろじょろとおしっこが下に勢いよく吹き出した。プールで体が冷えて、トイレに行きたくなったのだ。おしっこが出終わると、トイレットペーパーで無毛の女性器を丁寧に拭いた。トイレットペーパーを流し、クロッチを元にもどす。スイムウエアを上に持ち上げ、肩ひもに両腕を通す。手を洗うと悦子はプールに戻り、百合子たちに合流した。しばらく泳いで、女子更衣室に戻った。こうした運動は悦子にはすごく気持ちが良かった。適度に疲労し、女同士でおしゃべりをする。士郎などの男たちと話す時よりもリラックスできる。悦子はすっかり女だった。

 女子更衣室ではスイムウエアを脱いで全裸になると、体の隅々まできれいにバスタオルで拭いた。全裸のまま全員で長い髪を乾かす。女同士なので羞恥心などないのだ。乾いた髪からはふわっと女の甘いいい香りがする。髪を乾かし終わると、着てきた洋服に着替える。悦子は、百合子や芽衣奈、由美がショーツやブラをつけて着替えている姿をみても、男だった時のような劣情はもう起こらない。悦子はすでに同じ女なのだ。悦子もきてきた服に着替えた。

 これからパウダールームでお化粧しましょう、悦子。芽衣奈と由美と一緒にランチだものね。悦子はお化粧うまくなったわよね。

 う、うん、と頷くと、バックから化粧ポーチを取り出した。4人でパウダールームに向かう。高級ジムだけあって女性向けのパウダールームは広々している。様々な化粧品は揃えられている。女性それぞれに好みがあり、大部分の女性は自分の持ち込みの化粧品しか使わない。悦子の化粧品は、かつての悦子が使っていたものだ。パウダールームにはいると、それぞれが鏡の前に陣取り、化粧ポーチから化粧品を取り出して化粧を始める。化粧水や乳液でスキンケアしたあとで、化粧下地を塗り、ファウンデーションを塗る。アイメイクをし、チークを施し、リップを塗る。30分かけて悦子の顔が完成する。かつての悦子とそっくりだ。百合子にたっぷりと仕込まれたのだ。芽衣奈と由美も美しく仕上がった。

 さあ、ランチにいきましょう。私は車で由美を乗せてきたから、車で行くわ。

 この前行ったイタリアンにしましょう。あそこなら知っているでしょう。美味しかったわよね。

 百合子が言う。あそこならいいわね、悦子も同意した。支度を終えて、4人はジムの外に出ると、それぞれの車で郊外にあるイタリアンレストランに向かった。芽衣奈の運転する車はBMWだった。芽衣奈も由美もお金持ちの若奥様なのだ。旦那を喜ばせるために美しくいることは重要なのだ。それで悦子と同じジムに通っているのだ。百合子のジャガーがレストランについたのは、芽衣奈のBMWとほぼ同時だった。レストランの名前はカプリチョーザ。レストランの扉を開けるとからんと音がする。結構な人数が入っている。それでもまだ席は埋まっていない。若い男のウエイターが4人を席に案内する。4人の美しい女たちに戸惑っているようだった。4人が席に着くと、ウエイターが水とおしぼり、メニューを持ってくる。4人はメニューを見ながらそれぞれに注文するものを選ぶ。おしゃべりしながらなのでなかなか決まらない。ようやく由美が決めて、百合子が決めると、芽衣奈と悦子がメニューを決めた。悦子はポロネーゼのパスタにした。おしぼりで手を拭き、グラスの水を飲む。グラスにほんのりグロスの跡がついてしまう。ほかの3人も同じようにグラスにグロスの跡をつけている。3人からもそして悦子自身からも女の化粧品の甘い匂いがしている。注文の品が運ばれてくるまで、女同士でおしゃべりをし続けた。悦子はすっかり女同士のおしゃべりの輪に入れるようになっている。すっかり女口調だ。もう男のようにはしゃべれない、喋り方を忘れてしまった。お料理が運ばれてくると、悦子は紙エプロンをつけ、美しい髪を淡いピンクのシュシュで一つに束ねた。パスタをフォークでクルクルと巻いて、ゆっくり女らしく口に運んでいく。ゆっくりしたスピードだが、百合子も芽衣奈も由美もおっとりと食べている。悦子は女になって、食べるスピードを落としている。一口一口小さくゆっくり口元に運んでいく。そして食べながらおしゃべりをする。男だった頃の悦子にはまったくわからなかった世界だ。

 食事が終わると、食後のコーヒーが運ばれてくる。ちょっとお手洗い、と芽衣奈が席をたつ。メイク直しだ。芽衣奈が戻ってくると悦子はバックを持って席を立った。女子トイレに入っていく。悦子はメイク直しだけでなくトイレにも行きたかった。女になってトイレが近くなったのだ。個室に入ってドアを閉め、洋式トイレに座ってスカートをまくり、ショーツを下ろす。中腰になり小陰唇のびらびらを左右に開いておなかに力を入れるとじょろじょろと小さな尿道口からおしっこが勢いよく飛び出した。終わるとティッシュで丁寧に拭いてトイレに流す。便座にしっかり腰をおろすとショーツに貼ってあるおりものシートを剥がし汚物入れに捨てる。まだ排卵日にはならないのでおりものは少なめだ。バックから新しいおりものシートをとりだしショーツに貼る。女になってからショーツはいつもごわごわしている。生理の時は生理用ナプキン、それ以外はおりものシート。まるでおむつをしているみたいだ。男だった時には全く想像もしていなかった。おりものシートを貼ったショーツを引き上げ、スカートを直すと、個室を出て洗面台に向かった。このレストランの女子トイレは広く大きな洗面台が4つある。化粧直しをするにはもってこいで、悦子がこのレストランを気に入っているのも化粧直しがしやすいからだ。鏡の前で唇や頬をきれいにすると、ファンデーションを塗り直し、グロスを引き直した。鏡には美しい悦子が微笑んでいる。ばっちりだった。かつての悦子と今の悦子は境界線が見当たらないほどぴったり溶け合っている。髪をブラシできれいに整えてできあがりだ。トイレに入ってから20分ぐらい経っている。かつては待つ立場だったのが待たせる立場になっている。相手が男ならやきもきしている頃だろう。でも女同士なら心配はいらない。同じように化粧直しをする必要がある女という体なのだ。悦子がトイレからでてくると由美が化粧直しに立つ。運ばれてきたコーヒーは冷めている。それでもおしゃべりしながら全員の化粧直しが終わるのを楽しく待っている。最後に百合子が戻ってくると、今日は解散ということになった。それぞれが会計して外に出る。

 これから百合子たちはどうするの?

 私たちはエステに行くの。

 いいわね。あとで教えてね。私は由美を連れて帰らないと。またジムで会いましょう。

 そう言って芽衣奈と由美は車のほうに行ってしまう。

 私たちもエステに行きましょう、百合子が悦子に微笑んだ。悦子が助手席に座ってシートベルトをして膝の上にバックを置くと、百合子がゆっくりと車を走らせた。

 エステ楽しみ。エステ大好きよ。

 悦子はうれしそうな声をあげた。エステを何度も体験している悦子はあのうっとりするような、女性にしか経験できない時間が大好きだ。女性になったことでしか味わえない最大の楽しみがエステだった。男だったらあんな至福の時間は味わえない。

 悦子はすっかり女ね。悦子と女同士になれてすごくうれしいわ。いろんなことが共感し合えるものね。

 そういって百合子は微笑んだ。エステは家に向かう途中のビルの中にある。車は郊外の山や田畑が見える道をすごいスピードで飛ばす。次第に周りにはビルしか見えなくなる。都心部に入ったのだ。ビルの谷間の駐車場に車を止める。百合子と悦子は車を降りると、近くのビルに入る。このビルの4階に女性専用エステ「ジュテーム」がある。悦子と百合子は特別会員だ。年間で多額の会費を払っており、いつきても支払いなしでエステが受けられる。悦子と百合子がドアを開けると、受付の若い女の子が微笑んだ。

 いらっしゃいませ。まずはお着替えをどうぞ。

 悦子と百合子は受付の女の子に案内され、更衣室に向かった。更衣室で悦子はブラウスとスカートを脱ぎ、ブラを後ろ手で外し、ショーツを下ろし、一糸まとわぬ姿となった。百合子もその美しい裸体を晒している。脱いだものをロッカーにしまい、キーを持って施術室に向かう。美しいエステシャンが微笑みで迎えてくれる。

さあどうぞ。

 悦子と百合子はロッカーのキーを渡した。エステシャンが席をはずす。二人は施術台に裸のまま腰を下ろしてお互いを見て微笑んだ。エステシャンが戻ってくると、二人の髪をタオルできれいに巻いてくれた。うつ伏せになると、全身にオイルを塗りマッサージが始まる。悦子はこれが気持ちよく大好きだ。かよわい女の手で優しくゆっくりと揉みあげられるのだ。全身に雪が降り積もったように脂肪をまとった柔らかな女の体にはそのマッサージがとても心地よい。マッサージの振動が体を覆う柔らかな脂肪を震わせ、その気持ち良さが体全体に響いてくる。となりでは百合子も気持ちよさそうにうっとりしている。悦子はうとうとしてしまった。エステシャンに起こされ仰向けになった。乳房やお腹、ふとももなどにオイルを塗ってマッサージが始まる。女性器は無毛で小陰唇やクリトリスは丸見えだが、女同士であまり恥ずかしくない。オイルマッサージは気持ちがいい。全身がオイルでベトベトなので、マッサージが終わると、施術室の隣にあるバスに向かう。温水のシャワーでオイルを洗い流し、お風呂にゆっくりと浸かる。

 気持ちよかったわね。

ええ、すごく。エステって大好き。女の人ってこんな楽しみがあったのね。男だったら味わえなかったわ。

 悦子が気に入ってくれてとてもうれしいわ。

 百合子が微笑んだ。お風呂をでると備えてある大きなバスタオルで全身を拭き、施術室を覗きエステシャンに声をかけると、更衣室のキーを持ってきてくれた。更衣室で服を着てバックを持って出口に向かう。

 受付の女性が微笑む。

 悦子さんも百合子さんもおきれいですね。お肌ツヤツヤで。

 ありがとう。ここのエステのおかげよ。とっても気に入っているわ。

 悦子が微笑んだ。

 気をつけておかえりください。

 受付の女の子の微笑みに送られて、エステをでた。駐車場に戻り車に乗り込むと、百合子は悦子のマンションへ車を走らせた。

 今日の最後のお楽しみね。

 ええ、今日の最後のお楽しみ、昔の私たちに戻るのね。

 悦子は運転する百合子の横顔を見て微笑んだ。百合子がマンションの地下2階の駐車場にジャガーを止める。二人は地下2階の玄関へ向かう。エレベーターで悦子の部屋がある13階へ向かう。1304号室。悦子が鍵を開けた。玄関に入るとドアを閉め、二人でパンプスを脱いで中に入る。

 二人きりの時間よ。たっぷり楽しみましょう。まずはメイクを落としましょう。

 ええ、悦子とふたりっきりね。楽しみにしているわ。

 悦子の寝室にバックを置くと、二人でトイレの隣にある洗面所に向かった。ビオレの洗顔フォームでお化粧を落とす。すっぴんの顔をふかふかのタオルで丁寧に拭く。悦子はバスの隣にある、悦子のアナル調教用のバスタブのない浴室に行き、ローションの瓶を取ってくる。寝室に戻ると百合子がベッドに座って待っている。

 ローションを持ってきたのね。やる気まんまん。女同士のセックスは不倫じゃないものね。女同士のお遊び。悦子とは堂々とセックスできるようになって嬉しいわ。

 百合子が微笑んだ。

 私も嬉しい。最初は女に改造されて絶望したわ。激しく恨んだけれど、百合子とこうして堂々と抱き合えるなんて嬉しい。

 悦子はローションの瓶を枕元に置くと、百合子に抱きつき、その柔らかい唇にキスをした。百合子の柔らかい女体からは甘い香りがする。そのまま悦子は百合子を押し倒した。百合子は悦子を強く抱きしめた。しばらく抱き合った後、離れると、厚手のカーテンを閉めて、ライトをつけ、着ている服を脱いで全裸になった。部屋には二人のブラやショーツ、スカートなどが散らかっている。

 立ったまま悦子は百合子を抱きしめキスをした。右手で百合子の左胸をやわやわと揉み始めた。乳首をこりこりといじる。百合子の乳首が固く勃起してくるのがわかる。左手で百合子の陰裂を割り、中指でクリトリスから膣穴へ向かうラインを擦る。ああっつ、と百合子が声をあげる。百合子の膣穴から蜜が溢れる。

 ベッドでしましょう。

 百合子がそういうので、二人はベッドに向かい合わせになる形で横になった。お互いのぷっくらした大きな乳首をこりこりといじる。悦子は百合子に強く揉まれて、ああっつ、と声をあげ行きそうになった。まだ、だめ、そういうと今度は悦子が百合子の乳首を激しく押しつぶした。ああっつ、と今度は百合子が声をあげる。百合子は右手で悦子のクリトリスを探り当て、その芯を人差し指でこりこりと押しつぶした。悦子はああっつ、と声をあげ、膣穴から蜜がこぼれでる。お互いにクリトリスのいじりっこをする。お互いの女性器は蜜でべとべとになる。百合子が悦子の蜜でべとべとの膣穴を右手中指で激しくかき混ぜた。ああっつ、と悦子が声をあげる。膣内の無数の肉襞から快楽の波が発生しお互いに干渉して津波になり、悦子の意識を飲み込んでしまう。激しい電流が体を貫き、悦子は行ってしまった。悦子は百合子に抱きつきぐったりしている。

今度は私を行かせて、今いいところなんだから。

うん、と悦子は返事をすると、下で百合子の乳首を舐めまわし、左手の中指でクリトリスをこりこりといじりながら、右手の中指で蜜の溢れる膣穴をかき回す。百合子の白い柔肌がほんのり朱に染まる。じんわり汗がにじみ、蜜はさらに激しく溢れてくる。ああっつ、と声をあげると、体をびくびくっと震わせて百合子は行ってしまった。お互いの女性器は満開の薔薇のように真っ赤に花開いている。

気持ちよかった?

ええ、すごく。もっとしましょう。女の体は何度でもできるのよ。知っているでしょう。女の快楽は射精って出口がないんだから。

 悦子は百合子の言葉が実感できた。女の快楽は行って終わりではない、射精という出口のない女の快楽は出口をもとめて身体中を走り回る。クリトリスや膣穴は消し炭のように火を残し、ふいごで火を送れば、あっという間に燃え上がる。

 私の双頭ディルドでしましょう。

 悦子はクローゼットの下のショーツが入っている棚を開けて、奥から箱を取り出した。ここにかつての悦子が使っていた大人のオモチャが入っている。蓋をあけて双頭ディルドを取り出した。ディルドは両端がペニスの形をしている。シリコンゴム製でぐにゃりと曲がるようになっている。中央からサボテンの枝分かれのように左右それぞれに太い突起が伸びている。これはクリトリスを刺激するためのものだ。

 悦子は双頭ディルドとローションの瓶をとって、ベッドの上に戻った。

これで昔みたいに百合子を犯してあげるわ。

悦子がそういうと、犯されるのはどちらかしら?と百合子がにこりと笑った。双頭ディルドにたっぷりローションを塗り、お互いの膣穴にゆっくりと押し込む。悦子は上になり、下になった百合子を腰を振ってなんども犯した。それでも、悦子もまた、ああっつ、と声をあげてしまう。犯している悦子もまた、百合子に犯されている。枝分かれした太い突起がクリトリスにあたり、その勃起して包皮から顔を出した芯を激しく擦り上げる。この刺激もまたたまらない。腰を振って疲れた悦子を百合子が抱きしめると、今度は百合子が上になった。二人とも白い体を赤く上気させ、べっとり汗をかいている。百合子が上になって腰を振ると、限界に達していた二人は、ああっつ、と声を上げて同時に行ってしまった。百合子が悦子に覆いかぶさった。むんむんする牝の匂いを発している。

 疲れたわ。でも、まだしたい。すごく楽しい。

 そう言って、悦子の肩を舐めた。汗のしょっぱい味がする。

 悦子の体、おいしい、そういって百合子が微笑んだ。二人は松葉になり、お互いに相当ディルドを咥え込んで抱き合い、腰を振った。体を密着させ、勃起したクリトリスを太い突起にこすり合せる。二人はベッドのシーツをお互いの蜜でぐしょぐしょに濡らして、ああっつ、いくっつ、と声をあげ何度も絶頂に達した。出口のない女の快楽は体力が尽きるまで終わらない。二人が体力が尽き、はあはあ息をしながら、お互いの膣穴からディルドを抜き、やさしく抱き合う頃には、窓の外は真っ赤な夕焼けになっていた。

第1話 SMその1

第2話 SMその2

第3話 SMその3

第4話 SMその4


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です