おじさんの部屋の基礎体温折れ線グラフは今日も楽しい音楽を奏でる。

 季節は10月に入り、空気は肌寒くなってくる。山中詩織の橋の下での野宿生活は2ヶ月目を迎えていた。空は雨が降りそうなどんよりした天気だった。

 詩織は去年の10月に両親を交通事故でなくした。詩織の誕生日だった。誕生日祝いの用意を買ってくるからと詩織をおいて二人してでかけた。詩織を驚かせるために詩織は家に残された。あんな事故に巻き込まれるとは誰も予想できなかっただろう。反対車線を走っていた車が中央分離帯を乗り越えて、両親の車にぶつかってきたのだ。両親の車はガードレールにぶつかって大破し、両親はその車に押しつぶされて死亡した。

 両親の葬儀のあと、誰が詩織を引き取るかでもめた。母には兄と弟がいる。兄とは音信不通、葬儀にもこなかった。弟は結婚しており、子供が4人いる。生活はいっぱいいっぱいで詩織を面倒見る余裕はなかった。父には妹がいる。妹も結婚しており、詩織よりも1つ年上の息子がいる。妹の家も詩織を面倒見る余裕はない。それでもしかたなしに妹の高田花江が預かることになった。子供が4人もいる母の弟よりは父の妹の方が少しは生活に余裕があったからだ。

 高田の家では、詩織は小さくなって過ごさねばならなかった。やっかいもののように扱われた。部屋は物置だった部屋だ。ご飯を食べるにもお風呂に入るにも気を使わなければならなかった。毎月の生理の時のナプキンの処理には困った。中学生になっておぼえたおナニーもできなかった。詩織は高校1年生だった。学校に通っている時間だけがリラックスできた。それでももう学校には通えないかもしれなかった。高田の家で学費を出してくれるとは思わなかった。両親が支払った1年生の学費で、なんとか3月までは通えるだろう。それからは学校を辞めて働かなければならないだろう。

 夏休みの8月のことだった。家には高田花江の息子、亮太と詩織二人きりだった。二人とも高校は夏休みだった。花江と夫、光太郎は買い物にでかけていた。亮太がいきなり詩織のいる物置に入ってきた。力任せに詩織を押し倒した。

「いいだろう。今日は二人きりだ。やらせろよ」

そういって亮太は詩織に覆いかぶさってきた。亮太の手が詩織の胸にのびた。

「や、やめて」

「母にいってもお前にいうことなんか信じないよ。俺は優等生だからな」

亮太の手が詩織のブラウスを引き裂いた。

「い、いや、やめて」

 詩織は抵抗して、亮太を突き飛ばした。それでも亮太は詩織に襲いかかってきた。ショーツを脱がせると膣の中に指をいれてきた。詩織は

「い、いやー。だめ、やめて」

と叫んだが、すぐに亮太の大きな手で口を塞がれてしまった。

「おとなしくしろよ。近所に聞こえるだろう」

 詩織はもう無駄だと諦めた。亮太はズボンとトランクスを同時に下ろし、ぎんぎんにたぎったちんぽを詩織の乾いた膣に無理やり押し込んできた。あまりの痛さに声を上げたが亮太の大きな手が詩織の口を塞いだ。亮太が腰を2振り3振りすると亮太は詩織の中に射精した。

「誰にもいうなよ」

 詩織は目からとめどなく涙が溢れでた。亮太はそばにあったティッシュでちんぽをぬぐい、トランクスとズボンをあげると物置をでていった。

 詩織は、膣からあふれる血と精液をティッシュでぬぐい、新しいショーツにはきかえた。もうこの家にはいられない。ぐずんぐずんと泣きながら新しいブラウスとスカートを履き、家出の用意を整えた。お金とお母さんお父さんの遺品、生理用ナプキンなどのこまごました日用品、なるべくがさにならないものを布袋にいれ、それをもって高田の家をでた。行く当てはなかった。高校では家に泊めてくれるような友達はできなかった。それからはコンビニなどでお菓子を買って、思川の金平橋の橋桁の下で暮らすようになった。警察にはびくついた。警察に捕まれば、高田の家に戻されてしまう。あの亮太のいる家に。お金はあっという間にそこを突いた。コンビニの廃弁が見つかるときはそれをてにいれて飢えをしのいだ。生理用ナプキンも底をついた。ショーツが経血で汚れると思川の水で洗濯した。それでも、経血やおりものはふとももにかぴかぴにこびりついた。

 10月に入り、長雨がつづいた。詩織は1週間ぐらい食べ物を口にしていない。思川の汚れた水を飲んでなんとか生きている。着ているブラウスやスカートは汚れ、すえた匂いを放っている。ショーツは3つ持っていたが、どれも汚れがひどい。お腹がチクチク痛い。生理が近い。

 詩織は雨が降りそうな空を眺めながらおもった。もう死んじゃうしかない。もう無理。なにかないかと持ってきた布袋の中身を砂利の上にあけてみた。いくつかの日用品と母の遺品の手帳。詩織は母の手帳をめくった。そこには会ったことがない母の兄の名前と住所、電話番号が書いてあった。詩織がそのおじさんのことを聞こうとすると顔をくもらせたが密かに連絡は取っていたようだ。

「私には弟しかいないの。兄はいないことになっているの」

 母はおじさんのことについては全く教えてくれなかった。母のお葬式にもこなかった。詩織はあったこともなかった。住所をみるとそれはアパートだった。やよい荘201号室。詩織はだめもとでおじさんのところに行こうと思った。ここにいればやがて死んでしまう。もしおじさんが泊めてくれはしないにしても食べ物でも恵んでくれればありがたい。そう思っておじさんに会いに行くことを決意した。住所はそれほど遠くない。詩織が歩き始めると、雨がぽつぽつと降ってきた。やがてそれは土砂降りになった。詩織は傘などもっていない。ずぶ濡れになりながらやっとやよい荘を探しあてた。時刻は夕方になっていた。201号室は明かりがついている。おじさんがいる。もし食べ物だけでもめぐんでもらえたら、そう思いながら、ずぶ濡れで階段を上った。201号室をノックした。

「はい」

と男の声が聞こえる。

「詩織です。山中詩織です。山中由紀子の娘です」

 詩織がそういうと、ゆっくりとドアが開いた。おじさんがでてきた。ながそでの下着にすててこを履いている。でっぷりと太っていて頭は薄くなっている。髪の毛の大部分は灰色で、フケがついている。顔はぽてっとしていてほほがたるんでいる。白いものが混じった無精髭を生やしている。部屋の中は暖かだがすえた匂いがする。

「由紀子の娘か?初めてだな。どうしたんだ?そんなに濡れて」

「私、行くところがないんです。なにかたべものをいただけたらすぐに失礼します」

 詩織は頭をさげた。

「行くところがないんだろう。この雨の中をどこへ帰るんだ?」

「そ、それは」

「中に入れ。きたないところだが、由紀子の娘だ。飯ぐらいは食わせてやる」

 詩織は部屋の中に入った。部屋はどろぼうに入られたかのようにちらかっている。畳の上に万年床の煎餅布団が敷いてある。部屋の中央には机があり、そこにコンピュータが載っている。詩織はこんな汚い男の部屋に入ったのは初めてだった。

「今、風呂をわかしてやる。風呂にはいってこい。部屋が雫でびしゃびしゃだ。なにか服をきろ」

 詩織は雨の中を歩いてきたのだ。体からは水がしたたり、きているブラウスとスカートはびしょびしょだ。おじさんは部屋にあるクローゼットから男物のながそでの下着のシャツとトランクス、それにジャージの上下、それにバスタオルをとりだした。

「ここでこれにきがえろ。部屋を濡らされたら困る」

 おじさんの言うことはただしい。でも詩織は男の人の前で裸になるのをためらった。

「はやくきがえろ。風邪をひくだろう」

しかたなく、着ているブラウスとスカートを脱いで、ブラとショーツだけになった。ブラもショーツも汚れ、嫌な匂いを放っている。おじさんに裸をみられるのは諦めるしかなかった。詩織は部屋でブラとショーツを脱いで裸になり、バスタオルで体と髪の毛を丁寧にふいた。おじさんはお風呂を沸かしにいってしまう。詩織はおじさんのながそでの下着のシャツとトランクスをはいて、ジャージをきた。暖かい部屋の中で詩織はいくらか落ち着いた。

 おじさんはお風呂を沸かすを戻ってきた。

「これからコンビニに行って弁当を買ってくる。それからなにか欲しいものはあるか?」

 詩織は思い切って言った。

「そろそろ生理なので生理用ナプキンがほしいです。おじさんの部屋を汚してしまうといけないので」

「お気に入りのメーカーのはあるか?」

「な、なんでもいいです」

 詩織は恥ずかしそうにいった。

「わかった。行ってくる。20分ぐらいでお風呂が沸く。先にはいっていろ」

 そう言うと、おじさんは傘を持ってでていった。詩織はあらためておじさんの部屋を見回した。本棚にぎっしりと本が詰まっている。題名をみると、『むちむち奥さん』とか『魔のアナル調教改造』とか言ったエロ小説だ。詩織はこの手の小説をみたことも読んだこともない。おじさんのコンピュータを覗き込むと、こうしたいやらしい文章がつづられている。おじさんはこうした小説を書く小説家なのだろう。

 その手は真弓のアナルをやわやわと揉みしだいていく。アナルにローションをたっぶりぬりつけると男根より太い直径5センチはあろうかと思われるディルトをアナルにねじこんでいく。真弓はああっつと声をあげる。餅のように柔らかなアナルはディルドを飲み込んでいく。

 初めて読むSM小説は詩織を恐れさせた。詩織はとんでもないところに来てしまったと思った。でも、逃げるわけにはいかなかった。詩織にはほかに行くところがないのだ。あの橋の下にもどりたくはない。一度は亮太に犯され、穢されている。セックスぐらいなんということはない。おじさんがひどい暴力を振るうようならまた考えよう。

 そんなことを考えていると20分が過ぎた。詩織はお風呂をみにいった。暖かいお湯がはられている。少し水垢で汚れているが、今の詩織には暖かいお風呂はありがたかった。体がしんから冷え切っていた。着ていたものを脱ぐと体も洗わずに湯船にとびこんだ。生き返る気がした。お風呂に入るのは久しぶりだった。湯船でゆっくりしてから、カランの前でボディソープで体をあらう。ついでにおじさんのシャンプーで髪もあらった。その時玄関がカチャッとなった。おじさんが帰ってきたのだ。詩織は体をきれいに洗うと、また湯船にはいってのんびりした。おじさんはあんな小説を書いているのだ。ここにいればいずれ犯される。それでも構わないと覚悟を決めた。決心がつくと心が落ち着いた。お風呂に溶けてしまいそうだった。つい眠ってしまいそうになる。お風呂をでて、バスタオルで体を拭いているとおじさんと目があった。

「お風呂は気持ちよかったか?」

「う、うん。すごく気持ちよかった」

「生理用ナプキンとおりものシート、それにショーツも2枚買ってきた。弁当があるぞ」

 おじさんは1つのコンビニの袋を詩織の方においた。もう一つのコンビニの袋から弁当を取り出した。弁当はほかほかしている。湯気のでているご飯を食べるのはひさしぶりだった。バスタオルで体を拭き終わると、全裸でおじさんが買ってきたビニール袋を手に取った。おじさんに全裸をみられていてもあえて気にしなかった。おじさんに犯される覚悟はできている。ビニール袋をあけるとショーツと生理用ナプキン、おりものシートがでてきた。ビニール袋からショーツを取り出すと生理用ナプキンの袋をあけて、ナプキンをクロッチ部分に貼り付けた。そしてショーツをはいた。おじさんのながそでの下着のシャツをきてジャージをきた。そして、部屋の中央の机の前に正座ですわった。

「暖かいうちにたべろ」

コンビニ弁当は生姜焼き弁当だった。廃弁で食べたのはどれくらい前だったろう。冷えた廃棄の弁当。今は目の前に暖かい弁当がある。詩織は透明な蓋をとると、割り箸を割って、生姜焼きとご飯をすごい勢いでかきこんだ。すごくおいしかった。詩織は幸せだった。こんなにおいしいコンビニ弁当を食べたことはない。

「ゆっくり食べろよ」

 おじさんは台所にいって、味噌汁椀にインスタント味噌汁を入れて持ってきた。電気ポットに水をいれてスイッチをいれる。電気ポットでお湯が沸く前に詩織は生姜焼き弁当を食べ終わってしまった。おじさんは生姜焼き弁当を食べながら、お湯が沸くのを待っている。お湯が沸くと、お湯を味噌汁椀に注いだ。味噌汁のいい匂いが部屋じゅうに広がる。おじさんが味噌汁椀を詩織のほうに寄越したので、詩織は熱い味噌汁をふうふうと冷ましながらすすった。これも暖かい。体が温まる。こんな幸せな気分になったのは久しぶりだった。おじさんも味噌汁をすすりながら生姜焼き弁当をたべた。詩織はおじさんよりも先に味噌汁を飲み終わってしまった。おじさんが食べ終わるまで待った。おじさんは食べ終わると、二人の弁当のパックをゴミ袋にすて、味噌汁椀を台所に持っていった。戻ってきたおじさんに詩織はいった。

「しばらくここに置いてください。行くところがないんです。なんでもします」

「なんでもするんだな」

そういっておじさんはいやらしくニヤリと笑った。

「なら、俺が望む時にいつでもセックスをさせろ。それに俺は好きにオナニーをする。ここは俺の部屋だからな。嫌なら明日には出ていくんだな」

「わ、わかりました。私の体を好きにしてください。なんとかここにおいてください」

 そういって詩織は頭を畳につけて土下座をした。

「わかったよ。俺はこれからまだ仕事が残っている。俺の煎餅布団でよければそこで寝ろ」

「あ、ありがとうございます」

 布団で眠るのも久しぶりだった。2ヶ月ぐらいの間、橋の下の草の上で眠っていたのだ。布団はおじさんの臭い匂いがする。それでもそれは暖かな匂いだった。詩織はおじさんの加齢臭のする布団にくるまった。おじさんはいやらしい小説を書いている。今日の仕事が終わったら私を犯しにくるのだ。おじさんの書いているいやらしい小説みたいに。それでも詩織は構わなかった。もう心は決まっていた。臭い匂いのする布団にくるまって目を閉じた。布団は暖かい。目を閉じているとやがて部屋自体が真っ暗になった。布団におじさんが入ってきた。おじさんのにおいがする。おじさんに犯されると思ったが、おじさんは詩織とは反対方向を向いていびきをかきはじめた。おじさんの背中は大きかった。詩織がしがみつくととっても暖かい。おじさんにしがみついて目を閉じていると、睡魔が詩織の足をひっぱって深い深い眠りの底に引きづり込む。いつのまにか詩織はこれまでにない深い眠りの中に落ちていった。

 詩織は朝の光で目が覚めた。橋の下かとおもったが、布団の中だった。おじさんの家にたどり着いたのは夢ではなかった。ジャージの下の中に手を入れたが、おじさんに犯された気配はなかった。生理は始まっていた。お腹がちくちく痛む。

「目が覚めたか。朝ごはんの用意をする。それからお前の服を買いに行こう。ブラとかも必要だろう」

 おじさんは詩織をみてにやりといやらしい笑みを浮かべた。おじさんはコンビニの袋からおにぎりを4個と味噌汁のカップを2個取り出した。おにぎりはツナマヨとサケ、オカカに昆布、味噌汁は2個ともなめこだった。

「そろそろ9時だ。食べたら用意しろ。お湯を沸かしてくる」

 おじさんは台所にお湯を沸かしにいった。戻ってくると、詩織にどのおにぎりがいいかきいたので詩織はツナマヨとサケを選んだ。お湯が沸くと、なめこの味噌汁を作る。いい匂いが部屋に広がる。詩織は夢中でおにぎりを食べ、味噌汁をすすった。久しぶりの美味しい朝ごはんだった。詩織は幸せな気分になった。おじさんも詩織を見ながらおにぎりを食べ、味噌汁をすすっている。食べ終わるとゴミを近くにあったゴミ袋に捨てた。おじさんは部屋のクローゼットからアイロンをかけていないしわくちゃの下着でない紺の長袖のシャツと薄いジャンバー、ジーパン、靴下を取り出した。

「着替えろ。それから出発だ。生理用ナプキンはここでとりかえろ。ナプキンは俺がカバンに入れておく。トイレに行くときに渡す」

詩織はおじさんの目の前で着替え始めた。どうせ裸にされて犯されるのだ。裸をみられるくらい、生理を見られるくらいどうということはない。覚悟は決まっている。ジャージを脱ぎ下着を脱いだ。ショーツに貼った経血で汚れたナプキンを剥がす。おじさんがコンビニの袋を差し出したのでそこに捨てた。新しいナプキンに貼り替えてショーツをあげた。おじさんが絆創膏を差し出してくる。

「これを乳首にはれ。ブラは今日、あたらしいものを買ってやる。それまでの辛抱だ」

 詩織はいわれるままにぷっくらした太い乳首に絆創膏を貼り付けた。その上から下着のシャツを着て、上着をきた。そしてジーパンをはいた。ジーパンは長かったので裾をまくりあげた。

「俺も用意してくる」

 おじさんは台所に行ってひげをそった。戻ってくると詩織の目の前で着替えて、外出の用意をした。詩織の生理用ナプキンをカバンにいれて外出の用意は整った。詩織の靴は雨に濡れたローファーだけだった。中はびしょびしょだ。それをみたおじさんはぼろぼろのスニーカーをだしてくれた。

「靴もかわないといけないな」

 おじさんがぽつりといった。用意を整えて外に出ると、昨日の雨が嘘のように、からりと晴れたいい天気だった。暑いくらいの陽気だ。

 デパートではおじさんの前でブラを選んだ。店員さんにちゃんと測ってもらった。Bカップだった。お揃いのショーツも買ってもらった。洋服も靴も詩織が好きなものを選ぶと買ってくれた。トイレに行く時はおじさんが生理用ナプキンをカバンから取り出して渡してくれる。それをジーパンの後ろポケットにいれて女子トイレの列に並んだ。恥ずかしいのを我慢すればおじさんとこれからずっと一緒にいるのも悪くないかなと思ってしまう。

 デパートの最上階のレストランで食事をした。おじさんとおいしいオムライスの店に入り、2人ともオムライスを注文した。お店のオムライスはすごくおいしかった。おじさんが生理用ナプキンを差し出したので、トイレに行って取り替えることにした。

 帰りに1階の雑貨店でおじさんがかわいいシュシュと、指輪を買ってくれた。

 おじさんのアパートに帰った詩織は幸せだった。おじさんに言われて、ブラをつけて洋服を着てみることにした。ショーツもお揃いで買ったのだが、生理なので汚してしまうのがもったいない。着ていたものを全部脱ぐと乳首に貼った絆創膏を剥がした。買ってきたブラの値札を切って、前かがみになって腕を通し乳房をカップに入れ、後ろ手でホックを止める。乳房をきちんと入れる。ミントグリーンでリボンがついたかわいいブラだ。おじさんはにまにましてうれしそうに見ている。買ってもらったブラウスとスカートをきておじさんの前でふわりとまわってみる。おじさんが楽しそうに見ている。

 おじさんが仕事に戻ると詩織は万年床をたたみ、おじさんの書いたと思われる小説を本棚から取り出して読み始めた。その小説は今までに読んだことのないものだった。詩織が読んでいた本はストーリーの面白さがメインだった。しかしその小説は文からいやらしさが立ち上ってくるのだ。1文1文が詩織の脳髄を激しく刺激する。聞いたことのない単語がなにかすごくいやらしいのだ。読んでいると体がむずむずする。クリトリスが勃起してしまう。オナニーは中学校のときに覚えた。高田の家ではずっと我慢していた。それがその小説を読んでいると体が火照ってたまらなくなった。ついショーツの上から勃起したクリトリスをこりこりと擦ってしまう。もう我慢も限界だった。本を置くと詩織はオナニーを始めてしまった。クリトリスを左手でショーツの上からこりこりといじり、右手で乳首をこいこりといじった。若い詩織はすぐに限界に達してしまった。ああっつ、ああっつ、と声を出して行ってしまった。おじさんは振り返ってオナニーをしている詩織をいやらしい目で眺めていた。おじさんに見られているとさらに興奮して詩織はもう一度クリトリスをこりこりといじり回した。今度はショーツの中に手を入れてじかにさわった。経血の流れる膣穴からいやらしい蜜がとろとろと溢れてくる。クリトリスだけではなく、膣穴の浅瀬もいじり回した。ああっつ、とおじさんの目の前で行ってしまった。それでも我慢できず、膣穴の浅瀬を右手を茶筅のようにかき回して行ってしまった。おじさんは興奮して襲ってくるだろう。それは覚悟していたことだ。自分がこんなにもいらやしい牝であることを詩織は自覚した。でもおじさんは襲ってこなかった。

「オナニーしたらちゃんと手を洗えよ」

一言言うと仕事に戻ってしまった。詩織がショーツから取り出した右手は経血と蜜でぐしょぐしょになっていた。洗面所で石鹸で綺麗にあらった。ちょっと疲れた詩織は畳んである布団を枕にうとうとと眠ってしまった。

 夕方になって詩織は目が覚めた。部屋に西日が差し込んでいる。おじさんは仕事をしている。

「おじさん、なにか夕食つくろうか?」

「ああ、頼むよ。近くのスーパーまで一緒にいこう」

 おじさんは急いで外出の用意をした。詩織は買ってもらった新しいローファーを履いて、シュシュで髪を結んで、あたらしい服でおじさんと出かけた。おじさんは詩織がオナニーをした右手を左手で握った。詩織はなんだか幸せだった。おじさんには恥ずかしがることも隠すこともなくなってしまった。すべて見られてしまった。なにかせいせいしていた。

スーパーで材料を買うと、詩織はカレーをつくった。詩織の得意料理だ。おじさんはよろこんで食べてくれた。おじさんは仕事の話をしてくれた。おじさんはSM小説を書くエロ作家だった。それなりに本を出している。さっき詩織が読んでいた本はおじさんが書いたものだった。詩織は母、由紀子の話、そして飛び出した高田の家の話をした。亮太に犯された話もした。隠すことはないのだ。

「しょ、処女なくて残念だった?」

詩織はきいてみた。

「そんなことはこだわらないよ。俺は処女膜には興味がないんだ。同じエロ小説家で処女膜再生手術をして何度も破瓜を繰り返させる場面を描くやつがいるが、俺は少しも興味をひかれない。それより俺はぱっくり開いた膣のなかを覗いたり、指でいじっくったりするのが大好きなんだよ」

おじさんはいやらしい目で舐め回すように詩織の女の体を見ながらいった。

「そ、それじゃ私の膣の中をのぞいたりいじくったりしてください」

「俺はおまえがオナニーして蜜やおりものでぐっしょり濡れた指をなめたり匂いをかいだりさせてくれれば十分だよ。生理が終わって、オナニーをしたら指をなめさせてくれ」

「わ、わかりました。おじさんがそれでいいなら。せ、生理がおわったら」

詩織はほおをあからめながらそういった。詩織はなめまわすようなおじさんの視線がいやではなかった。高田の家では詩織はいないかのように扱われた。興味さえ持ってもらえない。まるで幽霊のような存在だった。でも、おじさんは興味をもって詩織の女の体を見てくれる。詩織の女の体を愛してくれる。それだけで嬉しかった。おじさんは詩織そのものには関心がないのかもしれない。それでも詩織の女体は詩織の一部であり、詩織をおじさんの部屋にとどめおくアンカーなのだ。

「それから、朝起きたら基礎体温をつけろ。折れ線グラフにしてよくわかるように部屋に貼っておくのだ。いつ卵胞期が始まって、排卵日がいつなのか、生理日がいつになるのか予想できるようつけるのだ。そうすれば俺はおまえのことをよく知ることができる。それが一緒に暮らす条件だ」

 詩織は同意した。基礎体温というものがどういうものなのか、まだ18歳の詩織にはよくわかっていなかった。知っている範囲では男が女を妊娠させないでセックスができる日を知るためのものらしかった。おじさんは詩織を妊娠させないでセックスをするつもりなのか、妊娠させるつもりなのかわからなかった。おじさんの表紙の絵には妊娠した女を縄でしばっている絵があった。きつく縛られた縄からロケットみたいな乳が飛び出してる。詩織はそれをみたとき、心臓がばくばくして胸からとびだしそうだった。詩織が妊娠したらあの絵みたいに縄できつく縛るのだろうか?そんな想像をすると女性器が熱く火照ってしまう。

 それから家事は詩織の担当になった。毎日ゴミを片付け、布団もちゃんとあげる。詩織はおじさんの身の回りの世話をした。眠る時はおじさんと同じ布団で眠り、時間があるときは部屋の片隅でおじさんのエロ小説を読んでいる。すごくエロい表現を読むとついクリトリスに手が行きオナニーをしてしまう。オナニーをした手をおじさんが匂いを嗅ぎ舐め回す。おじさんに抱きしめられることもあった。

壁に貼った基礎体温の折れ線グラフは詩織の生理周期が順調であることを示している。

部屋は一人住まいということで借りていたので、詩織と一緒に暮らすために近くの別のアパートに移ることになった。新しいアパートは清潔だった。詩織はおじさんの引越しを手伝い、新しい部屋に落ち着くとあまりよごさないようにこまめに掃除をしようと心に誓った。おじさんはまた詩織とセックスをしないが、詩織を抱きしめたり、体や髪の匂いを嗅いでくる。詩織はおじさんと体がふれあうのがうれしかった。おじさんは詩織の匂いをかいだり、オナニーをした、蜜やおりもので汚れた右手の匂いを嗅いだり蜜やおりものをなめたりしてくる。そうすると、興奮して創作欲が湧くという。これまで人に必要とされる経験をしていない詩織はおじさんの役にたてていることがうれしかった。

おじさんは高田の家にいって話をした。高田花江はさんざん文句をいったが、不要になったペットを引き渡すみたいにおじさんが詩織を引き取ることに同意した。詩織がいなくなってせいせいしたみたいだった。捜索願すらだしていなかった。詩織の荷物は着払いで後からおじさんの家に送ることになった。

こうして詩織はおじさんのペット、愛玩動物になったのだった。もう人間ではない。詩織はおじさんの所有物なのだ。

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