五十嵐結奈 ー高校入学ー

 2学期が始まる9月1日の朝、結奈はベッドの中にいた。起きてはいるがベッドから出たくはなかった。今日から女物のセーラー服を着て通学することになるのだ。できることなら学校に行きたくなかった。学校中に女の格好をしていることが知られてしまうのだ。男物の学生服は処分されてしまったし、もう覚悟を決めて行くしかない。しかし、その覚悟が決められないでいた。母の呼ぶ声がする。

「早く起きなさい。ご飯よ。学校遅刻するわよ」

仕方なく、結奈はベッドからでて、セーラー服を着て、ダイニングに向かった。慣れないスカートがスースーする。これで外を歩かなければならないのはきつい。結奈はテーブルについて朝食を食べた。わざとゆっくり食べた。学校へいきたくない。弟の琢磨と妹の春香はすでに学校に行ってしまったらしい。そのとき、インターフォンがなった。母が玄関に向かった。玄関で知世の声が聞こえる。

「結奈ちゃんを迎えに来ました」

 ダイニングに向かってくる足音が聞こえる。知世が上がってきたのだ。朝食を食べている結奈を見ると

「さあ、ゆっくり食べていないでいくわよ。初めての女の子通学なんだから、学校こないんじゃないかと心配できたの」

そういって知世は結奈の手をつかんだ。結奈は朝ごはんを食べ終わることなく学校へいくことになった。結奈はカバンを手に取った。母が買ってくれたマスコットが付いている。すっかり女の子仕様だ。外では絵里がまっていた。二人が出てくるとうれしそうに微笑んだ。

「初めての女の子通学ね。知世がすごく心配していたの。よかったわ。3人で登校できて」

結奈は右手を知世に、左手を絵里に掴まれて学校に向かった。もう逃げられなかった。慣れないスカートがスースーする。男の子が女装しているようで落ち着かない。しかし、結奈はどこからみてももはや女の子にしか見えない。プールに行った時よりも髪は伸びて肩につきそうだ。結奈は恐る恐る校門をくぐり、昇降口で上履きに履き替えて、教室にむかった。上履きは男女で違いはない。五十嵐と書いてある。名前でなくてよかったと思う。両手を知世と絵里に掴まれて、そっと教室にはいる。

「おはよー。結奈」

正輝が声をかけてくる。

 クラスの女子たちもおはよう、と声をかける。まるで、結奈はずっと女子だったみたいに、結奈がセーラー服をきていることに誰も違和感を感じていない様子だった。授業も普通どうりに始まり、担任も教科の先生も結奈のことを結奈と呼ぶ。まるで太一など最初からいなかったようだ。

 休み時間に知世と絵里、理子がやってきた。

「すっかり女の子ね。女の子は小さなグループに分かれているのよ。このクラスではそれぞれのグループは仲良しよ。結奈は私たちのグループね」

そういって、知世が微笑んだ。

「おトイレに行きましょう。私、あの日なの」

そういう理子は小さなポーチをもっている。

「女の子は一緒におトイレにいくの。理子がポーチを持っているから私たちで隠してあげないとね」

絵里が微笑んだ。結奈は理子について女子トイレに入った。なんか悪いことをしているような気がした。しかし、今の結奈の格好で男子トイレに入るわけにはいかない。結奈はもう2度と男子トイレには入れないのだ。結奈は初めての女子トイレで個室に入り、スカートをたくし上げてしゃがんで、小さなショーツをおろした。おちんちんを持っておしっこをした。来年にはもう持つところはなくなってしまうのだ。

女子トイレの個室には男子トイレの個室では見慣れないものがあった。汚物いれだ。たぶん、これが理子の小さなポーチと関係しているのだろう、と結奈は思った。生理については母が簡単に教えてくれた。理子は生理なのだ。そこに経血で汚れたナプキンを捨てるのだろう。実際に生理の経験のない結奈には、母からきいたことから想像できることはそれくらいだった。でも、それは来年には結奈は自分自身で体験することになるのだ。

 結奈が個室をでると、知世、絵里がまっていた。理子はまだだった。

「女の子は大変なのよ。男子がいやらしい目でちらちらみるから。結奈ももう女の子なんだからうかつに男子に近づいちゃダメよ」

 絵里がにこにこしながらそういった。理子が小さなポーチをもって個室からでてきた。

「おまたせ」

 そういって結奈に微笑んだ。

 その2日後に体育があった。男子も女子も9月の初めはプールの授業だ。結奈の母はスクール水着を用意してくれていた。プールは午後1時からだった。

 当日はすごく暑い日だった。結奈はそれほど親しくない女子と更衣室を一緒にしなければならなかった。男子だった結奈は、幼馴染の知世たちを除けばクラスの女子とそれほど親しくはない。男だった結奈に裸をみられる女子は、結奈のことをどう思っているのだろうか?結奈はすごく不安だった。プールは見学しようと思っていたが、知世に励まされた。

「休んじゃダメ。他のグループの女の子と仲良くするチャンスなんだから」

結奈は夏休みにプールに行った時のように、最初からアンダーショーツを履いていった。他の女子たちと一緒に女子更衣室に入る。周りの女子は結奈が女子更衣室にいても不審がらない様子だった。女の子としてここにいて当たり前みたいな感じがする。他の女子が普通に着替え始める。セーラー服を脱ぎブラをとると、体にバスタオルを巻きつけショーツを脱ぐ。スクール水着を履いて持ち上げ、バスタオルをとると、両肩にスクール水着の肩紐をとおす。ブラをとったり、スクール水着をきる瞬間に乳房が見えてしまうが誰も気にしない。女の子同士だからなのだろう。その一員に結奈も数えられているみたいだ。結奈も他の女子と同じようにセーラー服を脱ぎ、ブラをとる。お椀型のきれいな乳房があらわになる。どうみても2学期からは男子として学園生活を送ることは無理だった。体にバスタオルを巻きつけて、スクール水着をはいて持ち上げ、バスタオルをとって、肩紐を両肩にとおす。周りを見回すと、知世と絵里が結奈をみてにこっとする。結奈はすっかり女の子の中にまぎれたみたいだった。

 準備体操では知世も絵里も理子もそばにこなかった。結奈はあまり親しくない女子と一緒に組んで準備運動をすることになった。結奈はすごく不安になった。なんで知世がきてくれないんだろうと思った。結奈と組んだ女の子はにこっと微笑んだ。

「よろしくね。結奈ちゃん。これまであんまり話したことはなかったわね。私、林麻里。まりって呼んでね」

「ゆ、ゆなです」

「知ってるわよ。1学期から一緒だったものね」

麻里は、結奈が女の子であることが当然みたいに振る舞った。結奈と一緒でも嫌がったりしなかった。気持ち悪いとも思っていないようだった。おかげで結奈は女子にまじって女子と一緒にプールの授業を楽しんだ。女子更衣室で着替える時は、おちんちんをみられないように、しっかりバスタオルを胸に巻いて着替えた。女子の中で着替えてもおちんちんは大きくなることなく、寒さで縮こまったままだった。

 結奈は2学期の初めから不自然なほどに自然に女子の世界に溶け込んでいった。今までほとんど話したことのないクラスの女子と話すようになった。その代わり、正輝男子とはほとんど話さなくった。女の子のグループは本当に小さなグループに分かれている。それでもそれぞれのグループが独立しているわけではない。別のグループの子とも普通におしゃべりをしたりするのだ。初めての女子としての水泳の時、一緒に準備運動をした麻里ともときどきおしゃべりしたり、一緒にトイレに行ったりするようになった。結奈は、不自然にならないように、母に生理ポーチを持たされている。生理はこないが、ときどき女の子に紛れて、生理ポーチをもってトイレに行っている。生理ポーチを持っていない方が不自然なのだ。たまに、麻里や他の女子ともトイレに行く。誰かが生理のときは女の子同士守り合うように、お互いの生理ポーチを隠すために一緒にトイレにいく。それは誰がどの女子グループに属しているか関係なく、女の子が生理ポーチをもったら、気が付いた女子が自然に寄り添ってトイレに一緒にいくのだ。男だった時にはこういう女子社会のルールみたいなものには全く気がつかなかった。クラスの女子同士は優しいのだ。

 ある日の放課後、屋島あかねという女子と2人きりになってしまった。あかねはお金持ちのお嬢様でとってもきれいな長い黒髪の女の子だ。屋島という名前は聞いたことがある。五十嵐の家と同じくらいに裕福な家で、そういう家同士はなにがしかの関係がある。結奈はあかねとも女の子として暮らすようになってからときどきおしゃべりをする。それでも二人きりになってしまうのは初めてだった。

「さあ、帰りましょう」

あかねが声をかけた。結奈は今まで口にできなかったことを聞いてみた。

「あ、あの。私のこと嫌じゃない?気持ち悪いと思っていない?」

「どうして?どうしてそんなことをいうの?」

「わ、私、2学期から女の子として学校に通っているから」

「そんなことを気にしているの?結奈と私たちは将来、ママ友になるのよ。結奈は五十嵐の家のお嬢様。高校を卒業したら結婚するのよね。私と同じ。二十歳の頃には赤ちゃんがいるかもしれないわ。そうしたら、いいママ友でいたいじゃない?今から仲良くしていた方がいいじゃない?結奈が男の子だったことなんて関係ないわ。1学期からひやひやしていたのよ。どうみても女の子なのに男子にまじって。男子からも女子からも浮いちゃうんじゃないかと心配していたのよ。結奈がちゃんと女の子のグループに溶け込んでくれてうれしいわ。高校生になったらおちんちんを取っちゃうのよね。本当の生理もくるようになるわ。たぶん私たちは高校も一緒。そのときは私を頼ってね。いろいろ教えてあげるわ。だから今から仲良しの友達よ」

そういってあかねはうれしそうに微笑んだ。

結奈は女子のグループに馴染んでいった。知世や絵里のグループに属しているが、麻里やあかねなど他のグループの女子とも仲良くなっていった。体育の授業はバレーボールや体操、跳び箱などに変わったが、結奈は女子の体操服に着替えて、女子と一緒に体育の授業をうけた。着替える時、ショーツ姿を見られても、おちんちんは小さく、ショーツの中におちんちんが隠れていると思うものはいないほどだった。体力も他の女子たちとほとんど変わらなかった。男子だった片鱗などみじんもなかった。体力のある女子には負けてしまうのだった。11月にマラソン大会があったが、女子の距離は短い。去年までは男子のグループで走っていた。上位グループには食い込めなかったが、中の上といった感じだった。

 今年は、女子としてマラソンを走った。女子の中では足の速い菅沼瞳がはあはあ息を切らしている山崎薫と一緒にゆっくり走っている。薫と仲良しの友達も一緒にいる。瞳は薫のグループには属していない。それでも瞳は薫の伴走をしている。

「ど、どうしたの?」

結奈は声をかけた。

「薫が具合が悪そうなの。心配だから一緒に走っているの」

瞳が結奈に答えた。

「瞳ってすごく優しいのよ。先に行ってくれてもよかったのに」

薫の友達の山下真紀が言った。

「薫がこんななのに置いていけるわけないじゃない」

薫は汗を流し具合が悪そうだった。止まってしまった。

「わ、私も一緒にいくわ」

結奈は薫たちと一緒にのんびり歩くことにした。後から来た女子も薫の顔をみて心配そうな顔をすると一緒に歩いていくことになった。その子達も薫といつも一緒にいるグループの子ではなかったが、薫のことを心配している。男子だったらこういう風にはならない。遅いやつは置いていってしまうのが男子のやり方だ。でも女子は違う。速いことになどそれほど価値を置かないのだ。男子なら足が速い、運動神経がいいなどが絶対的価値を持つが女子にとってはそんなことは重要ではない。クラスメイトの女の子の方が大事なのだ。女子の価値観は男子とは全く違う。運動神経がいいとか、勉強ができるとか、男子はそういう見た目でわかる絶対的な価値観をもっている。運動音痴だとバカにされるし、勉強ができないとバカにされる。でも、女子は運動音痴でも、勉強ができなくてもそんなことは女の子同士の間では価値を持たないのだ。女の子として暮らし始めた結奈は、女の子の世界に馴染んでいくにつれ、その価値観の違いが次第にわかってきた。男子だった頃にはまったく分からなかった価値観だった。いまではそうした価値観のなかで暮らすことは心地よいとさえ感じるようになった。息を切らして辛そうにしている薫を女子たちは背中をさすったり手を握ったりしてあげている。結奈も薫の手をにぎって背中をさすってあげた。男子だったら絶対にしない行為だ。

「ありがとう。結奈ちゃん」

薫が弱々しく言った。

「いっしょにゆっくり行こう。大丈夫。みんな一緒」

「結奈はすっかり女の子のグループの一員ね」

瞳が結奈をみてにっこり微笑んだ。

マラソン大会以来、結奈は瞳のグループや薫のグループともすっかり仲良くなった。女子の小さなグループ同士の繋がりがわかるようになってきた。しかし、男子の間の関係は不透明な膜で仕切られているようにまるで検討がつかなくなっていた。相変わらず正輝や浩司は声をかけてくれるが、以前のように男同士という関係ではなく、男子と女子という関係になってしまった。その間にはこえられない不透明な膜ができてしまったようだった。結奈はすっかり女子のグループの一員になってしまった。男子の世界はもう結奈には届かない世界になってしまった。

本格的な受験勉強が始まった。結奈の受ける高校は決められている。聖光が丘女子学院。もちろん女子校だ。受かれば結奈はそこの寮に入ることになっている。結奈の成績ならば問題はなかった。聖光が丘女子学院はそれほど偏差値は高くない。それでも良家の子女が集まる。授業料は普通の私立に比べると驚くほど高い。知世も絵里も瞳も聖光が丘女子学院にいく。彼女たちもお嬢様なのだ。

結奈は女の格好での生活になれていった。11月に入り、木枯らしが吹くようになっても女子はスカートだった。生足でスカートは流石に寒かった。冬に生足を出して歩くのは子供の頃、半ズボンを履いていた頃以来だった。

「女の子って大変だね。冬でもスカートなんて」

そういうと

「私も寒いわ。でも、女の子をやっているとなれるものよ。結奈はこれからずっと女の子なんだから」

知世がそういって微笑んだ。

 結奈はお正月に初めて女の子の着物をきた。妹の春香と一緒に母に着させてもらった。春香は姉ができてうれしそうだった。春香の結奈に対する呼び方は「お姉ちゃん」になっていた。結奈は着物を着て、妹の春香、弟の琢磨、父と母と一緒に近くの神社にお参りにいった。結奈のお願い事は、無事入試に合格できますようにということだ。慣れない着物は歩きにくい。男だった時には履いたことのない草履をはかされている。可愛らしいがこれも歩きにくい原因だ。でも、もう結奈はどこからどうみても女の子だった。結奈は帰りにトイレに行きたくなった。なんとか家までは我慢ができた。着物でトイレにいったことのない結奈は、家のトイレで自分で用が足せなかった。母と妹に助けられ、小さなおちんちんを見られて立っておしっこをすることになってしまった。結奈は両裾をもっていたので、おちんちんは妹の春香が握ってくれた。でも、春香はなんか嬉しそうで、全然嫌がりはしなかった。

「お姉ちゃんのおちんちん握っちゃった。来年にはなくなっちゃうからいい思い出になるね」

と笑っている。

1月に受験があり、結奈は合格した。知世たちも合格した。合格を知った日は、女子同士で抱き合って喜んだ。結奈も知世たちと抱き合った。彼女たちの体は柔らかく、いい匂いがした。それは結奈も同じだった。結奈は髪も肩より長くなり、乳房もさらに膨らんできた。女の子特有の甘酸っぱいいい匂いがするようになっている。

4月から聖光が丘女子学院に通うことになったので、3月には寮に引越しの手続きを進めた。寮の部屋は2人1部屋だ。伝統的に上級生と新入生が一緒の部屋になることになっている。結奈は心配だった。中学校では、みんな自分を女子として受け入れてくれていた。女子のグループに属し、トイレも着替えも体育も女子と一緒だった。友達は男性から女性に変わっている。でも、まだおちんちんがついている。大きくなることはあまりないし、オナニーの頻度も減ってきている。たまにオナニーをするときもあるが、それは女子の誰かとの性交を想像してのことではない。女子はもはや同性であり、性欲の対象ではなくなりつつある。女の子にだきついたり、おっぱいを触っても、それは女子同士のじゃれあいに過ぎなくなっている。女の体そのものに欲情することはなくなっている。結奈の性欲は具体的なものではなく、なんかむらむらするとかむずむずするとかいった感じになっている。それを解消するためのオナニーなのだ。それでもオナニーは、おちんちんを擦りあげないといけない。おちんちんの亀頭を擦りあげて、むりやり射精させるのだ。きんたまはないので、おちんちんは哀れな透明な液体をどろっと吐き出すだけだ。結奈は自分のおちんちんが邪魔になり始めていた。寮で生活するにあたって、ルームメイトになる上級生にそのことを知られたらどう思われるか不安だった。寮のお風呂場は、みんなで入る大浴場だ。結奈はお風呂に入れない。それは結奈の1番の心配だった。それでも、母に無理やり最初から寮生活をするように言われたのだった。

 結奈は中学校を卒業してから、父母に呼ばれて、高校1年の夏休みに完全性転換手術を受けることが決まったことをしらされた。おちんちんが邪魔になり始めていた結奈には女の子社会に溶け込むためにも、それはうれしい知らせだった。1学期のうちは実家から通わせて欲しいといったが、高校生活に馴染むためにと1学期からの寮生活が言い渡されてしまった。

 結奈の部屋の同居人は、笹川みどりという3年生だった。みどりが卒業するまでの1年間、結奈と一緒になる。結奈はおちんちんがあることを知られたらと思うと不安で仕方がなかった。そうなったら1年間をどうやって過ごせばいいのだろうか?部屋に先に荷物を送った結奈が入居を始めたのは3月26日だった。外は暖かくて気持ちがいい。白のブラウスに黄色のカーディガン、水色のスカートにスニーカーという出で立ちでピンクのキャリーケースを転がしながら不安そうに寮の門をくぐり玄関に入ると、寮母さんが迎えてくれた。

「お世話になります。五十嵐結奈です」

緊張して挨拶すると

「結奈ちゃん、よろしくね」

寮母さんは結奈を抱きしめた。そして、事務室で入寮の手続きをすませた。

「同室のみどりちゃんを呼んでくるわね。楽しみにしているのよ」

 寮母さんは笹川みどりを呼びに行ってしまった。取り残された結奈はさらに不安になった。

「こんにちわ」

 通りかかった寮生がにこにこして挨拶してくる。

「こんにちわ」

結奈は緊張して返事をする。

「新入生ね。かわいらしいわね」

その寮生はにこにこしながら近づいてきて、結奈と握手をした。よろしくね、というと行ってしまった。

 寮母さんがみどりとおぼしき女の子と戻ってきた。その女の子は、きれいな黒髪が腰まで伸びた美しい少女だった。背は結奈よりも大きい。それでもすごくほっそりしている。

「結奈ちゃんね。楽しみにしていたの。可愛らしい女の子ね。1年間よろしくね」

 みどりが手を差し出したので、結奈はそのほっそりした右手を右手でにぎった。ガラス細工のようにほっそりして今にも壊れそうな白い手だった。

「こちらはみどりちゃん。そして結奈ちゃんよ。仲良くしてあげてね」

 寮母さんは結奈にみどりを紹介すると事務室へ戻っていった。

 「荷物はもうついているよ。さあ、一緒にいきましょう」

みどりは結奈の手を握って階段をあがった。結奈は自分が男だとばれるのが怖かった。部屋につくと、着いていた荷物を荷ほどきした。ブラやショーツはクローゼットにきれいにしまう。みどりはベッドの上で読書をしながら、楽しそうにちらちらと結奈をみている。結奈が荷ほどきをおえると、

「寮の中を案内してあげるわ」

とみどりが声をかけてくれた。

「ありがとう」

そういうと結奈はみどりについて寮のなかを回った。まだ、たくさんの寮生が残っているし、結奈のように新入生ではやばやと寮生活を開始するものも多い。先輩と一緒の知世をちらっと見かけたが、こちらに気がつかないのか、声をかける間もいくいってしまった。

「お友達?」

みどりが声をかけた。

「幼馴染で同級生です」

「知ってる子がいてよかったわね」

みどりは結奈に微笑んだ。みどりが結奈を案内すると、すれ違うみどりの友人たちが声をかけてくれる。寮は5階建、地下には大きなお風呂がある。食堂は1階。5階は図書館になっていて、本を持ち込んで読書したり、勉強をしたりできるようになっている。5階の図書館は見晴らしもよく、木々を挟んで学院や街をみることができる。

「ここからみる夕日はきれいなのよ」

みどりが説明してくれた。ひとまわりして部屋に戻ってくるとみどりが話し始めた。

「これから1年間は一緒。私はナプキンやおりものシートの取り換えはトイレにいかないでここでやっちゃうから気にしないでね。汚れたものは毎日、寮母さんに処理してもらっているの。暑い日には真っ裸で過ごしたりしているわ。女の子同士だから気にしないの。それに外からはみえないし。結奈ちゃんも気を使う必要はないわ。自分の部屋だと思って思いっきりくつろいでね。私に気を使ったりする必要はないわ。そういうのってストレスがたまっちゃうでしょう」

みどりがにこにこしている。ますます、結奈は自分におちんちんがついていることを知られるのが怖くなった。その日は、一緒に食堂に行き、ランチを食べた。知世が結奈に気が付いて手を振っている。午後は、部屋にみどりの友人たちが遊びにやってきた。みどりは結奈を紹介し、みんなで楽しくおしゃべりをした。

 夕食がおわると、みどりはお風呂に行く準備を始めた。バスタオルにハンドタオル、お気に入りのシャンプーにコンディショナー、そして石鹸とおけ。

「結奈ちゃん、一緒に行きましょう」

「だめ。一緒にはいけない」

結奈はぼそっと言った。

「おちんちんがついているから?」

みどりが結奈をみてにっこりした。結奈は全身から汗が吹き出しそうだった。今にも涙がこぼれそうだ。

「な、なぜ知っているの?」

「結奈ちゃんのことは知っているよ。ゆなちゃんのお世話をするようにいわれているからね。大丈夫。私がついていてあげる。なんの心配もいらないわ。安心して。さあ、お風呂の準備をして。一緒に行きましょう」

 しかたなく、結奈はお風呂の準備をして、みどりと一緒に部屋をでた。大浴場は地下1階にある。廊下を歩いて行くと、お風呂に向かう寮生たちに出会う。階段を降りてお風呂場に近づくと怖くなって動けなくなって、しゃがみ込んでしまった。おちんちんを見られてしまったらこれからこの寮でどうやってすごせばいいんだろう。もう自分の居場所はなくなってしまう。目からぼろぼろと涙がこぼれてくる。お風呂に向かう寮生が声をかけてくれた。

「結奈ちゃんだね。心配しなくても大丈夫だよ。結奈ちゃんは女の子。どこからみても女の子だよ。ちゃんとうけいれてあげるから」

「さあ、結奈ちゃん、泣いていないでお風呂にいこう。大丈夫、なんの心配もいらないわ」

通りがかりの寮生とみどりで結奈を立たせた。結奈は涙が止まらなかった。通りがかりの寮生が結奈のお風呂セットをもってくれる。

「私は2年生の笠松あや。これからよろしくね」

通りがかりの寮生があいさつした。結奈はもう逃げられなくなってしまった。心を決めるしかなかった。なみだをお風呂にもっていくバスタオルでぬぐった。お風呂場の暖簾をくぐるとすぐに脱衣場だ。夕食を終えてお風呂に入りにきた女の子が脱いでいる。結奈の小さなおちんちんは女の人の裸をみてももう大きくならない。逆に縮み上がっている。結奈は心を決めて、着ているブラウス、スカートを脱いだ。ブラとショーツだけになる。ブラはCカップになっている。ブラをはずすと、白くて柔らかいお椀型のきれいな乳房が転がり出る。ついにショーツを脱いだ。ショーツを脱がないとお風呂に入れない。ショーツを脱ぐと赤ちゃんのようなおちんちんがぶらさがっている。みどりもあやもあっという間にすっぽんぽんになった。

「結奈ちゃんのおちんちんはかわいいわね。大丈夫。誰も気にしないから」

みどりとあやに囲まれてもう逃げ道はない。他の真っ裸の女の子が、結奈を覗き込んだ。

「かわいらしいおちんちんがついているわね。でも、だれも気にしないわ。一緒にはいりましょう。ちょっとおちんちん触らせてね」

 そう言って、にっこりするとその子は大浴場に消えていった。結奈はみどりとあやにつきそわれて、ハンドタオルだけもって、大浴場の扉をあけた。湯気がもわもわしている。結奈は体を洗うところで、カランの前に座り、体を洗い始めた。隣ではみどりとあやも体を洗い始めている。結奈は赤ちゃんのようなおちんちんを丁寧にあらった。体全体を洗うと、肩まで伸びた女の黒髪をシャンプーで丁寧にあらい、コンディショナーですすいだ。洗い終わると左右でみどりとあやが湯船に行かずに待っていた。

「さあ、お風呂に浸かろうね」

みどりとあやが両手を握ったので、おちんちんを隠せない。結奈は二人に手を取られて湯船にはいった。さっき、結奈を覗き込んだ女の子が近づいてくる。

「結奈ちゃん、かわいいな」

 そう言って、その子が抱きついてきた。そして、そっと結奈の先端まで皮を被っているおちんちんを触った。

「やわらかいね。おちんちん。すべすべしている。しばらくはとらないの?」

「ううん。夏休みにとっちゃうの」

はずかしがりながら結奈は答えた。

「みさと。結奈を怖がらせちゃダメでしょう。結奈はおちんちんがあることを気にしているんだから」

「ごめんね。結奈。怖がらせるつもりはなかったの。結奈のことは同じ女の子同士っておもっているよ。おちんちんがついているからって嫌がったりしない。でも、おちんちん、触ってみたかったの」

 みさとは悪気もなくいった。

「私のおんなのこの部分、触らせてあげる。これでおあいこね」

そういうと、結奈の手をとって、みさとは自分の女の部分にもっていった。そこはつるつるしてなにもなかった。みさとはさらに結奈の手をこすりつけた。なにもないのではなかった。割れ目が走っていて、やさしい産毛が生えていた。

 なにごとかと真っ裸の女の子が集まってくる。女の子同士、当然に裸なのを隠したりしない。結奈のおちんちんを覗き込むと、かわいらしいわね、といって触ってくる。誰も結奈のことを嫌がったりしなかった。よろしくね、といって抱きついてくる子もいる。結奈は女の子として受け入れられたのだと安心した。夏休みにはおちんちんは解体され、彼女たちと同じ体になるのだ。結奈の女子高生生活はこうして始まった。

第1話

第2話

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