第8話 花子の友人

玲奈は、翌年の秋にも3匹の仔犬を生んだ。この時には、太郎の檻での出産だった。獣医師がきて、仔犬を取り上げてくれた。玲奈には人間の赤ちゃんを産む時と比べて、雑な扱いの気がした。それでも、二度目は楽だった。するりと仔犬が生まれ、獣医は臍の緒を切るだけだった。

玲奈は仔犬の体をぺろぺろと舐め、綺麗にし、仰向けになって、乳を与えた。

玲奈はすっかり母犬だった。前の年に産んだ仔犬はすっかり大きくなっていた。

仔犬がドッグフードを食べられるようになると、玲奈はまた、美香の部屋に戻された。

「今では檻の方がいいんじゃない?子供達がいるからね。でも、私の友人の玲奈としてたまにはここにいてもらいたいわ。仔犬を欲しがっている人がいるの。2匹あげることになっているの。玲奈にも会ってもらいたいわ」

「私はもう人には会いたくない。人間犬なんですもの」

「わがままは聞かないわよ」

それから1週間後に、玲奈が美香の部屋で全裸で、ドッグフードを食べていると、美香が誰かを連れて、部屋に入ってきた。玲奈の親友の一人、瞳だった。

高校、大学と仲良しだった。

思わず玲奈は

「みないで」

と叫んだ。

「玲奈は今は、犬なのね。花子って名前なのね。もう、二度も仔犬を生んでいるのね。2匹もらいに来たわ。大切に育てるから安心して」

そう言って、瞳が近づいてくる。

「花子はすごく可愛いのよ。でも、ここでは玲奈って呼んであげて。昔は友達だったんだもの。肉球がぷにぷにして気持ちいいのよ」

「玲奈は尻尾も生えているのね。肉球、触らせて」

玲奈は仕方なく、前足を差し出した。瞳は玲奈の視線に屈み込むと、そのグーに握られた前足をとった。そして、指だった部分につけられた人工肉球をぷにぷにと押した。指だった部分を押し開こうとした。

「へー。すっかり前足なんだね。もう開かないんだ。もう自分ではなにも持てないんだね。肉球はすごく気持ちいい」

玲奈は涙が出てきた。

「尻尾もさわらせて」

そう言いながら、勝手に尻尾を触ってくる。直腸がぐりぐりされる。

「だ、だめ。あんまりしちゃ」

「尻尾ぐりぐりされると感じちゃうみたい。それぐらいにしてあげて」

美香と瞳は部屋で二人でお菓子を食べ、紅茶を飲んだ。玲奈は見ているしかなかった。瞳が玲奈にお菓子を渡してきた。

「ダメよ。瞳。花子に餌をあげちゃ。ドッグフードしか食べないんだから」

美香が悪戯っぽく微笑んだ。

「花子の仔犬をみたいわ」

「花子を引いていくわね。すっかり母親なのよ」

玲奈の首輪に鎖のリードをつけると、瞳にもたせた。

「本当に犬なのね」

「もう、立つことはできないの。犬ですもの」

玲奈は親友だった瞳にこういう姿を見られるのはとても恥ずかしく、嫌なことだった。しかし、もう立てない玲奈は四つん這いで、歩いていくしかなかった。先頭を四つん這いで裸で歩いていく玲奈は、美香と瞳に尻尾とアナルを見られていると思うと恥ずかしくなった。

外にでて、太郎の檻にいくと、仔犬たちが寄ってくる。美香が鍵を開けると、仔犬が出てきたので、玲奈がグーの手で抱き上げる。仔犬が玲奈の白い体をぺろぺろと舐める。

「可愛らしいのをいただいていくわ。花子が産んだ子だと思うと、大切にしないといけないわね」

「私の子供たちなのよ。大切にしてあげて」

瞳は可愛らしい仔犬を2匹選んだ。

「また、花子に会いにくるわね」

そういうと、瞳は2匹の仔犬を連れて、嬉しそうに帰って行った。

玲奈は生理が終わると、太郎の檻に戻される。太郎の妻としての役割を果たすのだ。発情期の太郎は毎晩求めてくる。玲奈は伏せの姿勢で太郎を受け入れた。太郎は玲奈が唯一交われる雄だ。太郎との交わりだけで満足できない玲奈は、グーの手でクリトリスを擦り、膣穴をかき混ぜてオナニーをした。

食事は、太郎と仔犬達と一緒にドッグフードを食べる。それぞれに名前を書いたお皿が用意される。太郎と子供達は同じドッグフードだったが、玲奈のだけは違っていた。太郎のを一口食べて見たが、玲奈のとは少し違うみたいだった。

ある時、玲奈は、どこかの研究発表会みたいなところへ連れて行かれた。玲奈は尻尾のでる犬用のワンピースを着せられている。大勢の聴衆がいる。演壇のようなところへ連れて行かれると、美香の父がスライドや動画を使って、人間犬の成果の発表をする。玲奈が太郎と交わっているシーンや、仔犬を生んでいるシーンが流れている。玲奈はどうやって撮られたのだろうと思いながら、演壇に犬のように座っているのが恥ずかしかった。発表が終わると、実物の花子をみようと演壇のほうにやってくる。玲奈はグーに握られた手やアナルに埋め込まれた尻尾を何度も触られた。

「うちにも、人間犬が欲しいのだが」

という声が聞こえてくる。どうやら、ここは商談の場のようだった。どこかの若い女が、玲奈のように人間犬に改造されてしまうのだ。そう思うと、玲奈は少し悲しかった。もし、人間犬に改造されてしまったら、お友達として仲良くしてあげたいと思った。