第20話 麗子の家での夜

その日はずっと雨だった。夕食の買い物には行かず、家にあるもので夕食をつくることにした。麗子が立つはずのキッチンだった。ダイニングでは雄介が出来上がりを待っているはずだった。今は祐奈として可愛らしいエプロンをつけて立っている。東原のために料理を習い、女としては十分なくらいに上達している。

今日は一緒にハンバーグを作ることにした。冷蔵庫にミンチ肉が余っていたのだ。祐奈は麗子と一緒に食材の下ごしらえをする。祐奈は麗子と同じくらい上手になっている。

二人であんをこねて、ハンバーグを作り、祐奈がフライパンで上手に焼いた。祐奈は今では美しい新妻といった風情だ。

麗子と祐奈は二人で選んで買ったダイニングテーブルでハンバーグを食べた。祐奈は二度と見ることはないと思っていたダイニングテーブルで、こうして麗子と食事ができたことに嬉しくなって、思わず涙がこぼれた。

「どうして、泣いているの?私は嬉しいわよ。祐奈とこうして会えたんだし」

「私もすごく嬉しい。二度とは麗子と会えないと思っていた。こうして会えてすごく嬉しいの。女になって気分の上下が激しいの。嬉しいとすぐに泣いちゃうの」

「祐奈は結婚してもときどき遊びに来てね。女同士なら不倫にはならないでしょう。祐奈は私の女友達。そして、レズビアンの夫」

麗子はそう言って、笑った。

「結婚しても来るからね。結婚式に新婦の友人として招待してあげる」

「絶対行くわ。うれしい」

夕食を食べ終わると、一緒に食器を洗い、片付けた。食器棚も二人で一緒に選んだものだった。

その晩、麗子と祐奈は一緒にお風呂に入った。二人で選んだお風呂だった。やっと、二人で一緒のお風呂に入れるのだ。雄介は祐奈になってしまったが。脱衣場で全裸になった。

「祐奈は本当に白くてきれいね。ずっと女だったみたい。雄介だったなんて信じられないわ」

そう言って、麗子はにこにこしている。

「私が雄介だったって、どうして信じられたの?」

「癖ね。緊張すると、顔をいじる癖。私と会ったとき、だいぶ緊張していたみたい。顔をいじったんで、少しファンデーションが落ちてたわよ」

「自分では気がつかなかった」

「それが今度は祐奈の癖になるのね。祐奈は緊張すると顔をいじる癖がある子なんだってなるわ」

祐奈は麗子と体を洗いっこして、一緒に湯船に浸かった。ここでこうして二人で過ごすためにこの浴室にしたのだ。雄介は祐奈になってしまったが、麗子と一緒に過ごせるだけで十分だった。麗子が後ろから抱きついてきた。

「祐奈は子供を産めるの?」

「ええ、東原さんの子供を産むの。卵子はとってあるし、子宮は私の体の中で生きている。生理もあるのよ。そろそろって感じ。午後からお腹がちくちくしているの。ショーツにはいつも、おりものシートか生理用ナプキンを貼っているわ。麗子がこんな風に暮らしているなんてわからなかった。でも、生理を何度も経験している今ならわかるわ」

「すっかり女同士ね。生理の苦労を分かち合えるなんて。雄介が女になってよかったかもしれない。お互いにすごくよく分かり合えるから」

そう言って、麗子は祐奈に抱きついた。

「赤ちゃんができたら、連れてきてね。祐奈の赤ちゃんが見てみたいな。その前に、祐奈の妊婦姿も見せてね」

そう言って、祐奈の、子宮で少しぽっこりしたお腹を撫でた。

「今日は、ここに来てよかった」

祐奈は振り返って、麗子に抱きつくと、涙を流した。

「本当に、祐奈は泣き虫になっているわね。結婚式では絶対に泣いちゃいそう」

 

祐奈は麗子のパジャマを着ることになった。女物は麗子のものしかない。麗子は祐奈のブラウスやスカート、ブラ、ショーツを洗濯した。なので、祐奈は麗子のショーツを履くことになった。ぴったりと股間に張り付く。

「お互いに、着ているものの交換もできるわね。ブラもほとんど同じだし。女の子って着ているものをお互いに交換したりするのよ」

祐奈は麗子のベッドに入って、抱き合うように眠った。気がつくと、麗子が祐奈の体を触っている。

「祐奈ともう一度、セックスがしたいの。ずっと一人で寂しかったのよ」

そう言って、祐奈の何もない股間を触ってきた。

しよう、そう言って、祐奈は麗子の手をショーツの中に導き入れた。麗子が祐奈のクリトリスをこりこりといじり始めた。祐奈は麗子のパジャマの隙間から手を入れて、ブラをしていない柔らかい乳房をいじり始めた。乳首をこりこりといじる。ああっ、と先に祐奈が声を上げた。麗子はクリトリスを弄り回すと、膣穴の周辺をいじり、蜜がこぼれ始めると、中をかき混ぜた。祐奈も乳首をこりこりと押しつぶした。そして、麗子のショーツの中に手を入れた。

「祐奈の膣はよく締まるわね。もうぐっしょり濡れてる」

そう言って、さらにかき混ぜた。膣の肉襞1枚1枚から快楽の波が発生しているようだった。それが合わさって大波になり、祐奈を飲み込もうとしている。麗子は少し焦らして、今度はクリトリスをいじり回した。勃起したクリトリスは皮から肉芽を出している。指に蜜をつけて、ぐりぐりといじりまわした。祐奈はひとたまりもなかった。身体中を電撃が走り、体をがくがくとさせて行ってしまった。

祐奈はお返しとばかりに、麗子のクリトリスをいじり、膣穴をかき回した。今は女同士、どうすれば女は気持ちいいかわかるのだ。麗子の膣穴は蜜をだらだらと流し、ぐっしょり濡れている。勃起したクリトリスの肉芽を人差し指でぐりぐりと弄り回すと、ああっ、だめっ、と言って、麗子は行ってしまった。

女のセックスは一度行っただけでは終わりではない。その後も、何度もお互いを行かせあった。シーツがぐっしょりと濡れてしまった。

「シーツを取り替えて、お風呂に入って寝ましょう」

シーツを取り替えて、お風呂場の洗濯機であらい、またお風呂に入った。

「祐奈といると楽しいわ。絶対に、近いうちにまたきてね」

その夜は、さっぱりしたシーツの上でお互いに女の香りをさせて抱き合うと、あっという間に眠りに落ちた。