第1話 強制性転換

袴田光一は、深夜、急カーブの続く国道を100キロ前後で飛ばしていた。妻の陽子に会わなければならない。光一は離婚の危機にあった。今日は早めに家に戻って、その話をすると約束したのだ。しかし、仕事上のミスがあり、帰宅が遅れている。何度も妻に電話をしたが、電話は通じなかった。ラインもメールも送ったが無視された。私より、仕事優先と思っているのだろう。それが今回の危機の原因でもある。今走っている国道は抜け道で近道なのだ。深夜だし、人はいないだろう。飛ばせばいくらかは早めに着く。

その時、対向車線から真っ赤なロードスターが光一の車めがけて飛び出してきた。避ける余裕もなかった。

光一は病院らしきベッドの上で目を覚ました。手足に包帯がぐるぐる巻きにされ、身体中にチューブが突き刺さっている。喉にもチューブが差し込まれ、話すことはできない。

しばらくすると、看護師が巡回にきた。

「麗子さん、目が覚めましたね」

看護師はそう言って、微笑むと、体に繋がれているモニターを確認して持ってきた記録用紙に何かを書き込んだ。

俺は麗子ではない、まず第一に男だ、そう思ったが、話すことは出来なかった。その日のうちに、喉のチューブは外され、病院食に変わった。

「今の麗子さんは、歩けないから、おトイレはチューブで取らせてもらっていますよ」

看護師が言った。

「俺は袴田光一だ、麗子って女じゃない」

自分でそう言ってみて、その言葉が女の声であることに気がついた。

「麗子さんは、記憶が混乱しているのね。そのうち思い出すわ」

お粥みたいな病院食を食べ、ベッドに横になっているだけの日々が過ぎていった。足のギブスが外され、腕のギブスが外された。

「麗子さん、おしっこのチューブも外すわね。大の方もそろそろしたいでしょう。車椅子で連れて行くわ」

看護師は、光一を車椅子に乗せると、女子トイレに押していった。女子トイレに入ると、洗面台の鏡に自分の姿が映った。ショートヘアの女性だった。光一は車椅子を押されて、個室に入った。看護師が光一を下ろし、便座に腰を下ろさせた。

「さあ、下のパジャマを脱いで、中腰になって」

光一は言われるまま下のパジャマを脱いで、履いている小さなパンティを脱いだ。そこにはあるべきおちんちんはなく、女性の陰裂が走っている。

「どういうことだ。俺は男だぞ。女にされたのか?」

思わず、光一は怒鳴り声を上げた。その声はやはり女の声だった。

「麗子さんはずっと女よ。おトイレの仕方も忘れちゃっているみたいね。中腰で、びらびらを左右に開いて、下腹に力を入れるのよ」

納得のいかない光一だったが、もうおしっこをするおちんちんはない。言われるままにびらびらを開いて、下腹に力を入れた。おしっこがじゃあと音を立てて便器に入った。いくらかは外に飛び跳ねた。飛び跳ねたのは看護師が拭いてくれた。

「さあ、ティッシュでおしっこを拭いてね」

言われるままに光一はおしっこの雫の滴る陰裂をティッシュで拭いた。

「これからは自分で歩けるようにリハビリね」

光一のリハビリ生活が始まった。リハビリ室の鏡に映る自分の姿は綺麗な女性だった。病院にいるうちに髪も長く伸びていった。トイレで確認すると、胸の大きさもCカップぐらいはありそうだった。ベッドの名札には橘麗子と書いてあった。

食事も普通になり、自分で歩いてどこにでも行けるようになった。

ある時、きれいな女性がキャリーバッグを引いて、ハンドバッグを持って入ってきた。

「元気になったわね。麗子。すごく心配したわ。今日で退院よ。着替えを持ってきたわ」

光一の部屋は大部屋だった。その女性がベッドのカーテンを閉めた。

キャリーバッグから、小さなショーツやブラ、ストッキングを取り出した。

「さあ、脱いで。これに着替えて」

光一は言われるままに病院着を脱いで全裸になると、ショーツを履き、ブラを胸に当てた。

「ブラはつけてあげるわね」

そう言って、女性はブラホックを嵌めてくれた。光一はストッキングを履き、白の襞のあるブラウスを着て、紺のスカートを履いた。なれないスカートは下に何も履いていないみたいだ。

その女性はキャリーバッグから化粧道具を出して、軽く光一に化粧を施した。

「出来たわよ」

そう言って、鏡で顔を見せてくれた。そこには美しい女性が映っていた。女性は光一の身の回りを片付けると、カーテンを引いた。キャリーバッグからエナメルの赤いパンプスを出して、光一に履かせた。初めてのパンプスは、少しヒールがありぐらぐらする。光一はその女性と病室をでた。ナースセンターで挨拶をし、1階の会計を無視して、正面玄関を出た。外の光が眩しい。その女性はキャリーバッグから日傘を2本取り出し、1本を光一に渡してきた。

「もう7月ね。暑いわね」

光一が事故にあったのは4月だった。4月の繁忙期で仕事が押していたのだ。光一は日傘をさすと、女性の後について行った。女性は駐車場に止めてあるベンツの助手席のドアを開けた。

「さあ、麗子、乗って」

光一は助手席に乗り込んだ。

女性は運転席に乗り込むとエンジンをかけて、エアコンを入れ、静かに車をスタートさせた。女性の甘い香水の匂いがする。

「私は、山沢茜。茜でいいわ。私はあなたが男だった時の名前を知らない。あなたはこれからは橘麗子。私の部屋はあなたの部屋の隣。あなたは鴨志田朗の愛人。あなたを愛される女に仕立てることが私の仕事よ」

茜はそう言って微笑んだ。

「俺は女にされたんですか?どうして?」

「あの赤いロードスターの女が橘麗子。鴨志田は麗子をとても可愛がっていたわ。どうしても生きて欲しかったの。そして、子供をうんでもらいたかったの」

「俺は男だ。女の格好にしたところで子供は産めない」

「あなたには本物の麗子の子宮が埋め込まれているの。卵子も取ってあるわ。ちゃんと産めるのよ。初めての生理を迎えるわね」

そう言って、茜はおかしそうに笑った。

ベンツは都心に入り、高層ビルの地下駐車場に入っていく。茜は地下駐車場の所定の位置にベンツを止めた。麗子が降りると、自分も運転席から降りて、ロックをした。茜に先導されて、麗子は地下の玄関の入り口に入る。

「ここから入るにはロック解除キーがいるの。麗子のも持ってきているわ」

ハンドバッグから2つのキーを取り出すと、一つを麗子に渡してきた。橘麗子とローマ字でエンボス加工してある。茜が右端にあるスリットにキーを通すと、ガラスの扉が開いた。麗子も同様にスリットにキーを通す。中に入ると、エレベーターの上向のボタンを押す。

「私たちは10階よ。ちなみにこのマンションは女性専用」

エレベーターがやってきたので乗り込んだ。茜は10階を押す。10階に着くと、長い廊下を歩いていく。茜が止まった。

「ここが麗子の部屋。1006。私は隣の1007。キーを返しておくわね」

そう言って、茜はハンドバッグからキーを取り出して、麗子に渡した。麗子はキーを鍵穴に通して、ドアノブを回した。ドアは静かに開いた。

「これからここが自分の部屋よ。じっくり見てね。お昼は一緒に食べましょう」

そういうと、茜は自分の部屋に戻って行った。

麗子は自分の部屋を調べた。甘い女の匂いがする。部屋は全体的に女性らしい。大きなクローゼットに、ダブルのベッド、姿見、3面鏡の化粧台、お風呂も大きい。クローゼットには女の匂いのするワンピースやドレスがづらりと掛けてある。その下の引き出しには色鮮やかなブラとショーツがぎっしり入っている。

初めての化粧を施された麗子は自分では化粧の落とし方がわからなかった。隣の部屋の茜を訪ね、化粧の落とし方を教わった。

「麗子はお化粧も覚えないといけないわね。そういうのは私の仕事だから、よく教えてあげる」

その日のお昼と、夕食は茜の手作りのお料理だった。とても美味しかった。

「お風呂は一緒に入りましょう」

一緒に食器洗いをしながら、茜が言った。

お風呂場の脱衣場では、茜はさっさと脱いで裸になった。白い肌に大きなお尻、乳房も大きく、乳首がぷっくらしている。麗子も思い切って脱いだ。

「麗子はきれいね。一緒に洗いっこしましょう」

茜が麗子の体を洗うと、麗子は茜の体を洗った。麗子は茜の体を見て興奮したが、勃起するものはなかった。一緒に湯船に入ると、後ろから茜が抱きついてきた。麗子の乳首をこりこりといじった。麗子の乳首は男だった時と比べて、だいぶぷっくらと大きくなっている。乳輪も広がっている。麗子は、ああっ、と声をあげた。

「女みたいにかんじるのね。あそこはどうかしら」

茜は陰裂に手を持っていくと、どこかをこりこりと押しつぶした。

また、麗子はああっ、と声をあげる。茜が押したところが、ちんぽみたいに固く勃起している気がする。

「ここが女のおちんちん、クリトリスよ。一番気持ちいいところ。女はここでオナニーをするのよ。今晩、ベッドでしてみてね」

そういうと、麗子にキスをして手を離した。

その夜、麗子はベッドで、新品のクリトリスを弄ってみた。男のペニスみたいに固く勃起する。何遍も押しつぶすと快楽の波が発生する。それはやがて大きな波になる。体を激しい電流が貫き、麗子は体をガクガクとさせて行ってしまった。膣穴からはべっとりと蜜が溢れていた。