第5話 花子の交尾

玲奈は翌日、美香に鎖のリードを引かれて、朝の散歩に出かけた。季節は6月。朝だというのに、暑いくらい晴れている。玲奈は鎖を引かれて、お屋敷内の舗装された小道を四つん這いで、前足、後ろ足の肉球で踏みしめて歩いていく。着ているものは犬用のワンピース。ふさふさ尻尾がワンピースからはみ出して、ゆらゆら揺れている。

「これからは毎日、散歩に連れて行ってあげるわね。親友だった時は、バレーボールをやっていたことがあったわね。あれは確か高校の時。運動しないと体が鈍っちゃうから、これから花子の運動は散歩よ」

可笑しそうに美香が笑う。向こうから大きなドーベルマンを連れた男がやってくる。

「花子の散歩かい?こちらは太郎の散歩だ。太郎は発情期だ。妻を亡くして寂しいんだ。早く、花子をこちらへよこしてくれ」

「まだ、私の番よ。しばらくは私が可愛がるわ。それでも、顔合わせぐらいはしておいたほうがいいわね」

美香はドーベルマンの太郎の前に玲奈を連れていった。大きなドーベルマンは今にも襲いかかってきそうで恐ろしかった。太郎は、襲いかかってくることもせず、玲奈の匂いをくんくんと嗅いでいる。玲奈は、恐ろしさで身じろぎひとつできないでいた。太郎は興味深そうに玲奈の周りをぐるぐると回っている。玲奈はこれから、この雄犬と番わされるのだと思うと、恐ろしさで胸がぎゅっとなった。

「太郎は花子に興味を持ったみたい。きっとうまく番えるわ。花子はいい奥さんになるわよ。こちらが十分に楽しんだら、すぐに引き渡すわ」

散歩は30分ぐらいだった。お屋敷内に入るときは、前足、後ろ足を女たちに丁寧に拭かれる。家族が食事をするテーブルに引かれていく。

大きな男がやってくる。

「お父様の彩芽坂麟太郎よ。花子の手術を担当してくださったのよ。ちんちんのポーズでご挨拶なさい」

この男が玲奈の体を改造したのだ、と思うと憎しみの気持ちが湧いたが、今の玲奈にはどうしようもなかった。玲奈はご挨拶のちんちんをした。

「よくできている。我ながら人間犬の最初にして最高傑作だ。これで太郎の子供を産めるし、そのお乳もでるはずだ。人間犬で、犬の交配が可能になれば、これからは色々な交配が失敗せずに行える。早く、太郎の仔を産ませてみたいものだ」

麟太郎は、にこにこして、玲奈の目線に腰を落とし、玲奈のグーの手を触り、肉球をプニプニ押した。

「グーの手はいい感じだ。人工肉球はうまく根付いている。指はもう指の機能を果たしていないな。指の骨は動かないように固定した。親指の第一関節から先は拳と一体化している。もう親指ではないんだ。美香、花子にご飯をお上げ。私たちも朝食を食べるとしよう」

美香が玲奈の口枷を外した。

「声帯も取ってしまった方がよかったかしら?」

「そこまでの手術は無用だろう。人の言葉をしゃべっても、しゃべらなくても犬であることに変わりはない。もう、人間に戻ることはできないんだ」

そう聞いて、玲奈の目から涙が溢れた。美香が玲奈の口枷を外した。朝食のベーコンやスープのいい香りが漂う中を、玲奈はカーペットの上で、花子用のお皿で、いつものドッグフードをこりこりと食べ、ミルクと水を飲んだ。

玲奈が食べ終わると、また、口枷を装着し、美香の自室へと引いて行った。室内犬としての生活が始まった。

玲奈は、生理が終わったら、太郎と番わされることが決まった。生理のナプキン替えもも自分ではできない。女たちがやってきて、玲奈のショーツの中を確認し、経血で真っ赤に濡れたナプキンを交換する。腹痛、頭痛で、気分が最悪の生理の時期を、女たちに面倒を見られて過ごすのはすごく恥ずかしかった。生理など誰にも見られたことがなかった。誰にも見られたくないと思うのに、自分では何もできないのだ。もう、手は前足に変わってしまったのだ。この手ではナプキンの交換はできない。

「花子、生理が終わったから、これからは半月、太郎の妻として過ごしてもらうわ。私は花子がいないと寂しいんだけれど、それは太郎も同じよね」

その日、朝食が終わり、玲奈が部屋にいると、美香がそう言って、玲奈に鎖のリードをつけて、外に引いて行った。舗装された小道を、肉球で踏みしめながら歩いていくと、あの男がいた。

「さあ、花子を引き渡すわ」

リードを男に渡した。男は玲奈のリードを引っ張り、どこかへ連れていく。

「太郎がお前に興味を持つかどうかを確認する」

太郎の大きな檻が見える。ひどい獣臭がする。中では太郎が目を光らせているのがみえる。男は玲奈を檻の脇に連れて行った。そこには青いビニールシートが広げてある。男は玲奈を丸裸に脱がせた。口枷を外した。

「室内犬の時は、洋服を着せられていたが、これから半月は丸裸だ。寒ければ、太郎に温めてもらえ。お前は太郎の妻なのだから」

全裸の玲奈をビニールシートの中央に引いていくと、バケツに入った茶色い液体を四つん這いの玲奈にかけた。ひどい臭いがする。犬の臭いがする。むせ返るほど嫌な臭いだった。男はその茶色い液体を玲奈の髪や体に塗りたくった。玲奈の体はどこもかしこも茶色くなった。玲奈の膣穴にもたっぷり塗り込んだ。

檻の前に引いていくと、檻の錠前を外し、玲奈の鎖を外して、中に押し込んだ。

「妻としてうまくやれよ」

檻は下に藁が敷かれている。玲奈は少し前に進み出た。太郎がやってきた。玲奈の臭いをくんくんと嗅いでいる。玲奈が気に入ったようで、体をペロペロと舐め始めた。玲奈は恐怖で、体を縮こませ、されるがままになっていた。太郎の長いペニスが勃起している。太郎は四つん這いの玲奈の背中に、お尻の方から乗ってきた。これから太郎に犯されるのだと思うと、ぞっとした。しかし、逃げ道はなかった。もし、太郎を怒らせたら何をされるかわからない。太郎が細い、玲奈の背中に乗ってきたので、玲奈は少し腰を上げた。太郎が大きくなったペニスを挿入してきた。茶色い液体で濡れた玲奈の膣穴は、するりと太郎の大きく長いペニスを受け入れた。玲奈の犬用の膣がぎゅっと締まり、太郎を固定する。太郎が押し込むと、中の肉襞が擦れて、快感が発生する。口枷をされていない玲奈は、ああっ、ああっ、と人間の声をあげる。クリトリスがじんじんする。左の前足で、クリトリスを擦った。クリトリスが固く勃起し、肉芽が顔を出す。そこを肉球で優しく擦る。膣穴からも蜜がこぼれだす。

太郎は長いことつながって、玲奈の中に射精した。玲奈も肉球でクリトリスをこりこりして、ああっ、いいっ、と人間の声を上げて行ってしまった。太郎と離れた玲奈の膣穴からは太郎の白い精液が溢れ、玲奈の蜜でぐっしょり濡れている。太郎は汚れた、玲奈の膣穴を長い舌でぺろぺろと丁寧に舐めてくれた。

その日、男は太郎と書いたお皿と花子と書いたお皿に、それぞれのドッグフードを盛った。

「太郎と、花子はドッグフードがちがうからな。花子は人間犬だから特別のドッグフードだ」

玲奈と太郎は並んで食事をした。太郎はむせかえるような獣臭する。しかたなく、玲奈は太郎の隣で味のないドッグフードをこりこりと食べた。

朝の日課も太郎と玲奈では異なった。最初に玲奈が30分ほど散歩に連れていかれる。その後、太郎が連れていかれる。太郎はお昼頃まで帰ってこない。その間、玲奈は太郎の臭いの染み付いた藁の臭いを嗅いで過ごすのだ。玲奈の体に太郎の臭いが染み付いていく。

夜は太郎が求めてくる。玲奈は肉球で、クリトリスを擦り、膣から蜜を滴らせて、太郎を受け入れる準備をする。蜜を滴らせた玲奈の体は、雌犬の臭いがするみたいだった。太郎がくんくんと臭いを嗅ぐと、玲奈の背中に乗ってくる。玲奈はクリトリスを勃起させ、膣穴が十分に濡れると、太郎のペニスを受け入れる。

玲奈の番う男は、これからは雄犬だけなのだ。玲奈の膣穴はこれから人間の男のペニスを受け入れることはない。

玲奈は太郎に突かれても、それだけでは満足できなかった。女性器がじんじんと疼いたままだった。女の性は射精という出口をもたないのだ。快楽が外へ出ていかず、何度も体の中を走り回る。玲奈はぷにぷにした肉球で、クリトリスをいじり回した。昔、指でしていたような繊細な刺激はできなかった。それでも、十分だった。固く勃起したクリトリスを肉球で擦り、濡れた膣穴を、前足でぐりぐりする。肉襞が蠕動し、快楽の波が発生する。何度かすると、激しい快楽の波が押し寄せ、玲奈は体をガクガクさせ、ああっ、と声を上げ、行ってしまった。それからも、2度、3度と行ってしまった。雌犬の臭いをぷんぷん放つ玲奈に、太郎は近づいてきて、ぐっしょりぬれた膣穴や固くなったクリトリスをぺろぺろと舐めてくれた。太郎は優しいのだ。

玲奈と太郎はまるで夫婦のようになっていった。セックスをしない夜は、体をよせあわせて眠った。太郎の獣臭を嗅ぎ、心地よい眠りに落ちていく。女性器がじんじんする夜は、グーの拳で、オナニーをした。太郎の檻でオナニーをするのは自由だった。前足で、上手にクリトリスを刺激し、膣穴をグリグリする。オナニーを終えて眠ろうとすると、太郎が気が付いて、ぺろぺろ舐めてくれる。

半月が過ぎ、玲奈は室内犬に戻されることになった。室内に入るときには、前し後ろ足を丁寧に拭かれ、お風呂場に連れていかれ、全身を丹念に洗われた。それでも雌犬の臭いが染み付いているようだ。グーに固く握られた手は、もう本当の前足であるかのように硬くなっている。洗われた玲奈は口枷とリードの鎖をつけて、美香に渡された。

「たいぶ、雌犬の臭いが染み付いているわね。本当に雌犬らしくなっているわ。でも、半月は室内で飼ってあげる。昔は友達だったんだものね」

玲奈は鎖のリードを美香に引かれて行った。