第18話 母とのお風呂、そしてお泊まり

祐奈は細い母の背中を流した。正面に回り、こぶりで美しいお乳を洗ってあげた。

「まるで、昔に戻ったみたいね。祐奈が最後にこうして洗ってくれたのは小学生の時。生きて戻ってきて、またこうして洗ってもらえるなんて夢みたい」

母は泣いていた。母の甘い匂いが鼻腔をくすぐる。

「お母さん、時々は戻ってくるね。一緒にまたお風呂に入ろうね」

「うれしい」

そう言って、祐奈をぎゅっと抱きしめた。祐奈も細い母を抱きしめた。母の体は折れそうなほどに細く、そして柔らかい。祐奈は体を丹念に洗って、流してあげた。男親と息子ならこんなことは絶対にしないだろう。女同士だからできるのだ。母と娘は体でつながっているのだ。

祐奈と母は一緒に湯船に浸かった。いくら細いとはいえ、大人の女が二人も入るとぎゅうぎゅうだ。それでも母は楽しそうだ。

「おしくらまんじゅうみたいね」

そう言って笑っている。祐奈は母の乳房を触ってみた。

「お母さんのお乳は綺麗で柔らかい」

「これを祐奈は吸っていたのよ。今度は祐奈が、その綺麗な乳房を子供に吸わせるのよ」

そう言って、母が祐奈の乳房を触ってきた。乳首をこりこりする。

「ここが哺乳瓶の吸い口よ。祐奈は夢中で吸い付いていたのよ。祐奈の乳首はぷっくらしていて吸いやすそうね。赤ちゃんも安心ね」

「だめ。そんなにすると感じちゃうわ。まだ、赤ちゃんのためのものじゃないのよ」

祐奈がいたずらっぽく笑った。

「そうね。まずは東原さんが先だものね。それはまずは東原さんのもの」

可笑しそうに母が笑う。

「お父さんも大好きだったのよ。私のおっぱい。男の人はおっぱいが大好きね」

母の乳輪は、朝顔が花開いたみたいに大きい。祐奈の乳輪もそこまではいかないが大きい方だ。男のときと比べると何十倍にも広がっている。

お風呂をでると、母は祐奈の昔話をした。子供時代の色々な話を聞いた。祐奈は優しくて大人しい女の子だった。やがて、この記憶が祐奈の思い出になるのだ。

その晩、祐奈は自分の部屋で、高校時代に着ていたパジャマを着て、ベッドに入った。きれいなはずのベッドはどこか祐奈の女の匂いがする気がする。女であるということは、こんな人生を経験するということなのだ。男とはまるで違う。母親との距離も全く違う。やがては祐奈も母になるのだ。自分の子供が生まれてくる膣穴へショーツの上からそっと手を当てた。ここから自分は生まれてきた。そして、ここから子供が生まれるのだ。

祐奈はショーツの中に右手を入れた。祐奈がオナニーを覚えたのはいつ頃だろう。高校生の頃にはしていたのだろうか。

祐奈はクリトリスを右手でいじり始めて、オナニーを始めてしまった。声が漏れないようにシーツを噛んだ。左手でブラをしていない右胸の乳首をこりこりといじる。クリトリスが勃起し、固くなる。祐奈も男子高校生だった時は、毎晩夢中でトイレでしていたのだ、あのときの、ちんぽが今は小さなクリトリスになっている。もう射精はしない。電撃のような快楽が走るのだ。祐奈はこりこりとなんども強くクリトリスをこね回し、膣の浅瀬をかき回した。膣内の肉襞をぴくぴくと痙攣させて、祐奈は行ってしまった。ショーツが、そしてベッドのシーツがぐっしょり濡れてしまった。それでもまだ女性器がじんじんする。男のオナニーは射精すれば、それで終わりだった。射精という出口のない女のオナニーは、一度では終わらない。祐奈は昔の祐奈が使っていたベッドで、4回行ってしまった。体が疲れて、ぐっすり眠ることができた。朝起きると、祐奈は慌てて、ベッドのシーツを洗濯した。

祐奈は次の日の夕方、また来ると約束して母の家を後にした。

祐奈はすっかり祐奈になろうとしていた。すっかり祐奈として暮らすに当たって一つだけ心残りがあった。麗子のことだった。

祐奈は会社勤めも板につき、すっかり女の生活に馴染んでいった。母の家もなんども訪ねるようになった。東原との交際も順調そのものだった。

その年が明け、東原と彩音と一緒に、振袖を着て、初詣に行った。着付けは大変だったが振袖を着た祐奈は美しかった。祐奈はもう、女物を着ることに違和感を感じなくなっていた。

東原との結婚式が、10月に決まった。その前に、祐奈はどうしても会わなければならない、会いたい人がいた。妻の麗子だ。祐奈は自由だった。どこへ出かけても構わない。麗子は今の自分を見てどう思うだろうか。会ってもらえるだろうか。夫だったと信じてもらえるだろうか。そんな気持ちで、躊躇していて、6月になってしまった。思い切って、雨が降っている時に会いに行ってみることにした。雨降りで歩くのが大変な方が、余計なことを考えないで済む。二人で買ったあの家に、今でも住んでいるのだろうか。それとも、家を売って、どこかへ引っ越してしまっているのだろうか。手がかりは二人で買った家だった。雨降りの中をお気に入りのオレンジのレインコートと黄色のレインシューズ、オレンジの傘を持って出かけた。

その家は、記憶にある場所にちゃんとあった。高山の表札も掛かっている。祐奈は躊躇したが、思い切ってインターフォンを押した。音が家中に響いている。玄関のドアが開いた。女がサンダルをつっかけて、傘を差して、こちらへやってくる。

麗子だ。

「どちらさまですか?間違いではないですか?」

祐奈はわかるかどうか、ちょっと試してみようと思って、こちらへ来た麗子の耳元で囁いた。

「私よ、私。雄介よ」

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