第4話 お泊まり会

茜は次第に女子の世界に馴染んでいった。中学2年生であるということにも。中学2年生女子の中では体つきは大きい方であるが、だからといって特に大きくて目立つというような感じでもない。普通に、中2女子として十分に通じるのである。勉強も一度はやった内容であり、それほど勉強しなくてもいい成績が取れる。

ブラウスにリボン、襞スカートという格好にも慣れていった。最初の頃はスカートの下がスースーしたが、それも当たり前になった。膝頭を出して歩くのは、半ズボンを履いていた小学校以来だ。男子のズボンは羨ましいが、今の茜は女子なのだ。

「茜、トイレに行こう」

隣の美樹が誘ってくる。

「私も一緒にいく」

華もついてくる。茜はすっかり中2女子としての居場所を見つけていた。

「6月には中間試験よね。一緒に勉強会しない?お泊まりで」

美樹がいう。

「いいね。桃香と結衣も誘おうね。もちろん、茜はくるわよね」

と華がいう。

「う、うん。いく」

と茜は答えた。

「茜は頭いいから、いろいろ教えてね」

楽しそうに美樹がいう。茜はこういう勉強会に誘われたのは初めてだった。ずっと男として生きてきた中で、友達の家に泊まりで勉強会などなかった。アニメでは女子のお泊まり会を見たことはあったが、それが自分の身に起こるとは露とも考えていなかった。一緒にお泊まりして、おしゃべりして男だったとバレてしまうのではないかと不安になった。アニメで見たように一緒にお風呂に入ったりするのだろうか。

その晩、姉の恵子に話をした。

「お姉ちゃん、今度、中間試験の勉強会でお泊まりに行くことになったの。行った方がいい?」

「当然でしょう。茜は中学2年生で女の子なんだから。女子はよくお泊まり会をするものよ。初めてのお泊まり会だから、持って行くものとか教えてあげるわね。ママにも報告しておくわ。ママも茜が本当に女の子らしくなって喜んでいるのよ」

恵子はすっかり、茜の姉らしくなっている。 茜はいつでもどこでも恵子をお姉ちゃんと呼ぶようにしている。実際の年齢は同じでも、恵子は高校1年生、茜は中学2年生なのだ。いつの間にか、そう呼ぶことに茜自身が慣れてきている。

「ちょっと心配なの。男の子だったことがバレちゃわないか。なんか変だとおもわれちゃわないか」

「心配ないわ。茜はどこから見ても女の子だもの。それにここに初めてきた時より、ずっと女の子らしくなってる。女子として中学校に通っているせいもあるわね。すっかり女の子の世界に馴染んでいる証拠よ。お泊まり会を何度も経験すれば、もっと女の子らしくなれるわよ」

そう言って、恵子は茜に微笑んだ。

その夜は、茜は母の瞳と一緒にお風呂に入った。最近は、母の瞳とお風呂に入ることが多い。茜は、母の瞳を、ママと呼んでいる。瞳はママと呼ばれて嬉しそうだ。子供のできない瞳は恵子と茜を養女に迎えたのだ。最初、茜は男の子だったため、女の子としてやっていけるか不安な気持ちで見守っていたが、最近ではすっかり女の子らしくなってしまったので、そこが本当にいとおしくなってしまい、すっかりお気に入りになってしまった。恵子よりも可愛がる感じになっている。

「茜、お風呂に一緒に入るわよ」

と誘ってくる。瞳は茜の体が次第にぷっくらと女の子らしくなっていくのをお風呂で確認するのが楽しみになっている。定期的に女性ホルモンを打たれている茜の体は少しずつ、おっぱいは大きく、お尻はまるくなってきている。

「ママ、お友達に中間試験の勉強会をやるからお泊まり会をしようって誘われたの。どう思う?」

「私には、お泊まり会に行きますって連絡だけでいいわよ。行っていいかなんて許可はいらないわ。だって、茜は中学生の女の子なんだもの。そういうお泊まり会には積極的に参加しないとね。可愛らしいパジャマを用意しないとね。次回はこの家に誘ってもいいわよ。茜はここの娘なんだから。茜のお友達にも会いたいしね」

瞳が微笑んだ。

茜は美樹の家に勉強会というお泊まり会に行った。華と桃香、結衣も一緒だった。美樹の家は代々の旧家で、家はとてつもなく広い。長い廊下を歩いて行くと美樹の部屋がある。どこをどう歩いてきたかわからなくなりそうだ。

「美樹のお屋敷はすごくひろいわね。迷子になりそう」

と結衣がいう。美樹の部屋は女の子らしい、ピンク基調の部屋だった。結構な広さがある。床は絨毯敷きだ。学習机、クローゼット、姿見、大きな天蓋付きベッド、部屋の中央には座って足を伸ばせるテーブルがある。

「ここで勉強しましょう。茜、いろいろ教えてね」

部屋の隅にお泊まり用の荷物を置くと、テーブルに4人が陣取った。部屋は女子特有の甘酸っぱいにおいで溢れている。

お菓子を食べ、ジュースを飲みながら、教え合う。お互いの距離がすごく近い。女の子のいい匂いがする。疲れると、お互いに寄りかかってのんびりしたりする。お互いの髪を撫でたり、体をタッチしたりと、体の接触もおおい。茜は女の子の生活でこうこうことにも慣れつつあった。茜も気軽に、美樹や華の腕や胸を触ったりする。

夕食は豪華なご馳走だった。茜は美樹たちとわいわいしながらご飯を食べた。美樹の両親に挨拶をした。優しそうな両親だ。茜はすっかり中学2年生の、美樹の同級生の友達だった。夕食後は美樹の母の食器の後片付けを全員で手伝った。

お風呂は、茜と美樹と結衣、華と桃香という組み合わせで入ることになった。茜は母の瞳や恵子と入っているので、女子と一緒にお風呂に入ることに抵抗はなくなっていた。美樹も結衣も女の子らしい、白くて華奢な体をしているが、それは茜も同じなのだ。茜の体はどこから見ても、男だった痕跡は全くない。それに最近は、女性ホルモンの影響で胸が大きくなり、乳首がぷっくらと太くなっている気がする。

「茜は、おっぱいが大きくなっているよね。成長期?うらやましいな」

結衣がそういいながら、茜の柔らかいおっぱいを触ってくる。美樹も

「出会った頃は、それほどでもなかったのに、なんか大きくなっているよね」

と言って触ってくる。触られた茜は、お返しとばかりに二人の乳房をさわる。最近は茜のほうがいくらか大きい感じだ。

その夜は、キングサイズのベッドで5人一緒に体をくっつけあって眠った。茜はすっかり女子の一員だった。女の体で興奮することはなくなっていた。それでも、男子を好きになれるかというとそれはまた別の問題だった。