第3話 茜の学校生活

2年生として中途入学してきたことで、担任になった女の先生、希咲京子先生に自己紹介をさせられた。

「高島 茜です。今まで宮城で暮らしていました。親の都合でこちらへ越してきました。よろしくお願いします」

茜は頭をさげて挨拶した。

「茜ちゃんは、美樹さんの隣ね」

京子先生が微笑む。美樹の右隣の席が空いている。

「茜ちゃん、こっち、よろしくね」

美樹が手を振っている。茜は美樹の隣の席に座ると、よろしくお願いします、と微笑んで言った。美樹もにっこりする。

授業が終わると、さっそく美樹が話しかけてきた。

「私、花園美樹、よろしくね。ここの学校は女子同士仲がいいんだ。私は部活はいっていないの。茜ちゃんは何かはいるの?トイレにいくから一緒に行こう」

いつの間にか、美樹と茜の周りに女子が集まっている。女子特有の甘酸っぱい匂いがする。彼女たちは実際は自分より2歳も年下なのだ。それでも今は同級生なのだ。

「私もおトイレ行くの。一緒にいこう」

女子の一人が話しかけてくる。美樹はカバンから小さなポーチを取り出した。茜もトイレでおりものシートを交換する必要がある。茜もカバンからポーチを取り出した。姉の恵子と一緒に行ったデパートで買ったものだ。可愛らしい動物柄だ。

「茜ちゃんはかわいいの持っているんだね」

また、女子の一人がいう。女の子同士で連れ立って、トイレに行く。小さなポーチを襞スカートの一つしかないポケットにしまっている子もいる。女の子は集団でまとまってトイレに行くことで、生理用品やポーチをもっていることを見られないようにしているのだ。そういうのを見られるのは恥ずかしいことなのだ。

男だった時には気づかなかったことだ。女は便所に行くときは、いつも一緒だなぐらいにしか思っていなかった。女になった今、ポーチを男子に見られてしまうことは恥ずかしいことなのだ。だから女子同士で隠し合うのだ。

茜は初めての中学校の女子トイレに入った。もう男子トイレには入れない。女子トイレの個室には汚物入れがある。個室で中腰で用を済ませると、ショーツに貼ってあるおりものシートを剥がして、汚物入れに捨て、ポーチから新しいものを出してショーツに貼る。自分の教室に戻ると、一緒だった女子たちと話をする。こちらへ引越しをしてきた理由について作り話をしなければいけなかった。それでも、初日から女子の友達ができた。女子同士は本当に仲がいい。向こうでは男子たちがテレビについてのくだらない話に花を咲かせている。茜はもう、そういう男子のグループには加われないのだ。

その翌日に体育の授業があった。体育着は母の瞳がすでに用意してくれていた。最初の体育の授業は体力測定だった。女子は女子更衣室で着替える。隣の席の美樹や、仲良くなった華、桃果、結衣たちと体育着を持って、女子更衣室に入っていく。女子たちと着替えるというのは緊張する。女子たちは、周りが女子しかいないので、安心して、制服を脱いで着替えていく。みんな、ブラやショーツだけの姿になっている。茜は今はもう女子だった。緊張しながらも、制服を脱ぎ、瞳が買ってくれた可愛らしい下着姿になった。華が茜の可愛らしい下着に目を止めた。

「茜ちゃんは可愛らしい下着をつけているね。そういうの趣味なの?」

華がにこにこしている。華の下着も花柄で同じように可愛らしい。

「マ、ママが買ってくれるの。可愛らしいのが好きなの」

「私もよ。茜ちゃんによく似合っている。かわいい」

「華ちゃんもすごくかわいいわ。似合ってる」

茜はなんとか女の子らしい会話をひねりだした。女の子同士で下着を褒めあったりするのは普通みたいだった。

ブラをしていると、少し体を動しずらい。それに小さなショーツが股に食い込みそうだ。こんな格好でこれからは体育をやらなければいけないのだ。でも、それは女にとっては当たり前なのだ。

茜は女子たちに混じって外のグラウンドで体力測定を受けた。100メートル走、遠投、走り高跳び。どれをとっても、男だった時の優位性はなかった。女子としては普通よりちょっと上ぐらいだった。速い子には追いつけないし、体力だって、男だったとは思えないほど落ちている。全種目をこなすと、くたくたになっていた。茜はすっかり女の子だった。

次の授業のために美樹たちと女子更衣室で着替える。

「茜、背中の汗を拭いて」

美樹はもう茜のことを呼び捨てだ。茜は細くて白い美樹の背中をやわらかいタオルで拭いてあげる。ちょっと恥ずかしいがブラをひっぱって、その隙間も拭いてあげる。

「次は美樹がやって、お願い」

わかった、と言って、美樹が茜の体を拭いてくれる。美樹は汗臭い、甘酸っぱいいい匂いがする。女子は男子とは違うのだ。美樹に拭いてもらうと、ブラウスと襞スカートに着替えて、教室に向かう。美樹も他の女子も2歳年下なのだが、もうそんな気はしなかった。彼女たちは同級生なのだ。

茜はまだ部活に入っていないので、美樹と華と桃香と途中まで一緒に帰る。方向が同じなのだ。途中で姉の恵子にあった。高校は中学の隣にある。

「茜はもうお友達ができたのね。私は茜の姉の恵子。高校生よ」

恵子はそう言って微笑んでいる。

「ええ、こちらが美樹ちゃん、こちらが華ちゃん、こちらが桃香ちゃん」

茜はそれぞれを紹介する。みんな、姉の恵子に自己紹介する。姉はにこっと微笑むと帰って行った。

「茜のお姉さん。きれいね。優しそう」

と美樹。

「とっても優しいわよ。お姉ちゃんのこと大好きなの」

茜はもう、恵子の妹なのだ。今までのように恵子ではなく、いつでも、お姉ちゃんと呼ばなければいけない。茜は恵子を2人きりのときも、友達がいるときもいつもお姉ちゃんと呼ぶようになっていった。茜は自分が恵子の妹であるという立場を次第に受け入れていった。

家では母の瞳と恵子と一緒に夕食を食べる。父の幸伸は仕事で忙しくほとんど会っていない。茜と恵子はときどき、瞳と一緒に台所に立ち、お料理をつくる。

「茜がうちに来てくれてうれしいわ。こんなに美人になるとは思ってもいなかったわ。どちらが婿取りでも、お嫁にだしても問題ないわね。茜は男の子だったし、恵子のお兄ちゃんだったから、女の子の生活に馴染めないんじゃないかと心配していたの。宮城からやってきて会った時は、本当の女の子みたいだったわ。あの時、茜を手放さなくてよかったわ」

瞳が夕食の料理に手を伸ばしながら言った。

「茜はすっかり、恵子の妹だよ。同級生の友達もできたのよ。いつでも私のことをお姉ちゃんって呼ぶし。私の可愛い妹。これからはずっと一緒に暮らせるからとっても嬉しい。それに女同士だから、一緒にお買い物やお化粧や、女同士の話ができるのも嬉しいな。結婚だって、出産だって、一緒に経験するのよ」

恵子がうれしそうに微笑む。茜はこれから女として、結婚し、出産するのだ。女として生きて行くのだ。

「私もあの時、お姉ちゃんと別れないでよかったと思っている。今は妹の茜としてお姉ちゃんと一緒にいられるのはすごく嬉しい。それに女の子のこと、いろいろ教えてもらえるし」

「今日はママと、一緒にお風呂に入ろうね。茜。どれだけ女っぽくなったかみてあげる」

瞳がいたずらっぽく笑った。

その夜、茜は瞳とお風呂に入った。母の瞳は、大人の女の柔らかいふくよかな体をしている。少女のまだ、あどけない茜の体とはちがう。

「茜はすっかり女の子の体ね。洗ってあげる」

瞳は茜をカランの前の椅子に座らせると、その体を丁寧にあらった。瞳の柔らかい乳房が茜の背中にあたる。男だったら、ペニスを固くさせていただろう。でも今、茜は女だった。女同士。瞳が洗い終わると、洗ってあげる、と言って、茜が瞳の柔らかい体を丁寧に洗った。その長い髪も丁寧に洗った。

それから広い湯船に2人で体をぴったりとくっつけて入った。瞳が茜の匂いをかぐ。

「茜はすっかり女の子ね。女の子になるってことで養女にして正解だったわ。こんなに可愛らしい女の子になったんだもの。もう、赤ちゃんも産めるしね。幸伸さんも可愛らしい娘になったなって喜んでいるわ。今年の夏は家族旅行に行きましょう」

そう言って、瞳は茜を抱きしめた。瞳のいい匂いがする。

その夜、部屋のベッドで、恵子が茜を抱きしめてきた。

「茜。これからはずっと一緒にいられてうれしい。茜はまだ、男の人に恋したことないよね。私もまだなの。これからは、茜は男の人を好きになって行くんだよ。でも、女同士もいいかな」

そう言って、恵子は茜の股間に手を伸ばしてきた。

「私、男の人を好きになれるのかな?」

「茜は女の子だもの、好きになるのは男の子よ。まだ、男の子だった感覚が残っているの?それだったら、男の子として私をいじってみて。私となら解消させてあげる」

茜はどきどきして恵子を抱きしめた。恵子の体は細くて柔らかい。茜は恵子のショーツに指を入れた。

「自分でする時みたいに、私の体をいじって。同じ女の体なんだから気持ちよくなる場所は一緒。私のしてあげる」

茜が恵子のクリトリスを弄り回すと、恵子も茜のショーツに指を入れて、女性器のテッペンのクリトリスをこりこりといじり回した。ああっ、いいっ、と茜が声を上げた。茜はクリトリスを固く勃起させた。でも、ペニスとは違って、もう女の体に挿入することはできない。恵子が優しく、こねくり回す。行きそうになると、焦らされた。茜の膣からは蜜がしたたっている。恵子は膣の浅瀬をかき混ぜた。

「茜はいやらしい女の子。膣で行っちゃいなさい」

にたっと笑うと、恵子は茜の膣を激しくかき混ぜた。ああっ、もうだめ、と声が出てしまう。さらにかき混ぜられると、体を激しい電流が貫き、茜は行ってしまった。それでも、茜の膣の周辺はじんじんしている。男と違って射精という出口のない女の快楽は身体中を走り回って、体に留まるのだ。

「あと、2、3回は行かせてあげる」

恵子は茜のクリトリスをいじり、膣をかき回して、茜を行かせた。茜ももう男としてセックスはできないが、女であることの快楽は、男だったときのそれをはるかに上回っていた。同じ女である恵子がどこが気持ちいいのかはよくわかっている。茜はお返しとばかりに、恵子のクリトリスをこりこりといじり回した。そして蜜の滴る膣穴の浅瀬を中指と人差し指を茶筅のように使ってかき混ぜた。たまらずに恵子は体をガクガクとさせて行ってしまった。

「あと、2回ぐらいして。体が熱いの」

茜は恵子のクリトリスをいじり、膣穴をかき混ぜて行かせた。

疲れて、しばらく2人はベッドで抱き合っていた。

「お風呂にいって体を綺麗にしてきましょう。これだけしたから今日はぐっすり眠れるわよ。女の子としたいと思ったら、私に言って。いつでも相手になってあげるわ。お姉ちゃんだもの」

恵子はにっこり笑ってそう言った。二人は、お風呂で体をきれいに流し合うと、体をバスタオルでよく拭き、髪を乾かした。ベッドに戻って、抱き合い、お互いの匂いを嗅ぎあうと、いつの間にかぐっすり眠りの中へ落ちて行った。