第12話 祐奈としてのオナニー

祐奈はベットの中で、昔の祐奈が使っていたバイブをショーツの上からそっと押し当てて、スイッチを入れた。さっき、お風呂で彩音としたことで、どこが気持ちがいいかわかる。陰裂のてっぺん。そこにちんぽの亀頭から作られた新品のクリトリスがある。かつて妻の麗子がよがったように、自分も快楽によがるようになるのだ。バイブがブルブルと振動する。それをショーツの上からクリトリスのある場所へあてがうと、クリトリスが激しくこすり上げられる。

「直接当てない方がいいわよ。振動が強いから。ショーツの上からでちょうどいいぐらい」

彩音からのアドバイスだった。確かにショーツの上からでも十分だった。クリトリスが固く勃起する。まるで男の時みたいだ。ニューハーフ時代にはこんな勃起を感じたことはなかった。ちんぽはいつもぐんにゃりしたままだった。その亀頭がむき出しにされ、削り出されて埋め込まれることで、こんなにも感じるようになるのだ。固く勃起したクリトリスをショーツの上からなんども擦り上げる。下に穿たれた新しい膣穴から蜜がどくどくと溢れ出し、ショーツがおもらしをしたみたいにぐっしょり湿ってしまう。昔の祐奈もこんな風に感じていたのだ。昔の祐奈の匂いのするベッドで、激しくクリトリスをバイブで擦り上げると、体を電流が走り、体をがくがくとさせて祐奈は行ってしまった。

お風呂に行って、蜜でぐっしょり濡れた膣穴を洗った。かつて男だった時に麗子にしたように、この膣穴に東原のちんぽを受け入れるのだ。今度は、麗子の側、される側なのだ。ニューハーフ時代は、アナルを犯されていた。アナルでは感じたことはなかった。だから、東原はアナルビーズでオナニーをさせてくれたのだ。これからは違う。新しく作られた膣穴を犯されるのだ。クリトリスは気持ちがいいが、麗子のクリトリスは前戯でちょっと触れた程度だった。その当時は膣穴にちんぽを押し込んで自分の快楽を追求していた。あれでは麗子は満足できなかっただろう。麗子にすまない気分になった。

祐奈は膣穴を洗うと同時に、指で中をかき混ぜてみた。彩音がしてくれたみたいに。浅瀬は気持ちがよかった。奥はどうなのだろう?東原のちんぽが奥まで入ってきて、膣奥をずんずん突かれるのだ。どんな気持ちなのだろうか。女の細い指では届かない。ディルドーをすっぽり入れるのはまだちょっと怖い。東原との新品の膣穴でのセックスを想像しながら、膣の浅瀬をかき混ぜた。あまりの快楽に祐奈は指を止めることができなかった。膣の浅瀬から快楽の波が発生し、次第に大きな波になる。ダムが決壊し、快楽が祐奈の全身を貫き、再び、祐奈はいってしまった。女の快楽に限りはないのだ。オナニーの蜜で汚れた膣穴を洗いにきたはずなのに、今度は膣穴で行ってしまった。また、蜜でべっとりだ。

祐奈は全身をくまなく洗うと、今日はもうしない、と誓って、ベッドに戻った。手を股間に持っていかないように我慢して、横になった。眠りはすぐにやってきた。何度かのオナニーで体の方が疲れていたのだ。

祐奈は彩音に連れられて、外に出かけるようになった。ニューハーフとして暮らしていたといっても、女として社会で暮らしたことはなかった。祐奈を女の社会に慣れさせるべく、彩音は祐奈を外へ連れ出したのだ。

祐奈は街にある大きなデパートへ連れてこられた。1階は化粧品コーナーになっている。有名ブランドが店を構えている。そうしたお店で、祐奈はお試しに化粧をしてもらった。麗子と一緒に行った時、麗子はこうしたショップでお化粧をしてもらって、似合うかどうか聞いてきた。化粧映えする麗子は美しく、高価な化粧品を買って上げた。今度は祐奈がおねだりする女の立場なのだ。ショップ店員が慣れた手つきで、素早く綺麗に化粧していく。鏡に映る祐奈はとても美しかった。

「祐奈。とってもきれい。そのアイライナーとチークとファンデーションを買ってみたら?」

「え、ええ」

祐奈はちょっと戸惑った。部屋を出る時、エルメスのバッグに、祐奈のお財布や化粧品、ストッキング、生理用品などを入れてきた。祐奈のお財布を勝手に使うのは悪い気がした。しかし、お財布に入っている免許証には、どうみても今の祐奈が写っている。もう、このお財布は今の祐奈のお財布なのだ。祐奈は踏ん切りをつけて、バッグからベージュのお財布を取り出した。たくさんのお札と、祐奈名義のカードが入っている。祐奈は、カードで支払いをした。

祐奈は、このデパートで女子トイレに入ることになった。女にされてから、トイレが近くなっている。それにちんぽがついていた時みたいに我慢が効かない。男のように長く我慢ができないのだ。我慢すると漏らしてしまう可能性がある。

女子トイレは混んでいた。祐奈はトイレを待つ女性の列に並んだ。むせかえるような女の甘い匂いや香水の匂いがする。やっと個室に入った。ストッキングをおろし、ショーツを下ろして、中腰になり、小陰唇を左右に引っ張って尿動口をむき出しにしておしっこをする。トイレットペーパーで陰裂をきれいに拭う。そして、バッグから生理用ナプキンをだして、おりものシートと交換する。ショーツからはがしたおりものシートは汚物入れに捨てる。生理がそろそろ来そうだった。今朝からお腹がちくちく痛いのだ。ショーツを履いて、ストッキングを引き上げ、タイトスカートを直すと、個室をでた。洗面台ではリップを引き直している女がいる。祐奈はバッグからハンケチを出すと、急いで手を洗い、トイレをでた。

「初めての女子トイレはどうだった?女はこうして列に並ばないとおしっこできないのよ。女は我慢がきかないから、早めに行っておかないとね」

祐奈は女子トイレの列に並ぶ麗子を思い出していた。トイレが遅いと不満を言ったことがあったが、女はこんな苦労をしているのだ。

祐奈は5センチの黄色のハイヒールをはかされていた。きらきらひかるラメのストッキングがヒールの中で滑る。ヒールは歩きにくい。歩く時に、コツコツと音がする。これは女になって初めて経験することだった。

12階にあるレストランで久しぶりのラーメンを食べることになった。シュシュで髪を1本に結い、紙エプロンをつけて、他の女たちのように、ゆっくりと箸をあげて、口元に持っていき、ゆっくりと食べる。男だった時みたいに、豪快にすすることはもうできないのだ。それが女なのだった。

「どう?女としてデパートを歩いた感想は?男だったことがないから、私には女であることは当たり前だけど、やっぱり男とは違う?」

「ええ、全然違うわ。女は、いろいろな面で不自由ね。おトイレに行くにもラーメンを食べるにも」

「私も男だったらよかったなって思うことがあるのよ。男の人ってあまり身だしなみを考えないじゃない?それにラーメンを豪快に食べられるし。羨ましいって思うことはあるわよ。でも、女のおしゃれは女にしかできないじゃない?それに私は女として愛されるのが好き。愛するより愛されたいの、可愛がってもらいたいの」

ラーメンを口元に運びながら、彩音が言った。

祐奈は彩音と何度か外に出て、女の社会を体験した。

「今度、東原さんが祐奈を抱きたいって言っていたわよ。来週の土曜日に車でお迎えにくるって。ついに、祐奈は女として、男に抱かれるのね」

ある二人きりの夕食の夜に、彩音がぽつりといった。

「洋服はどうした方がいい?」

「あとで、連絡があるわよ。お道具で自分の膣穴を、東原さんに満足してもらえるようにしておいた方がいいわよ。あれからしている?」

「ええ、毎日しちゃっているわ。昔の祐奈も好きだったのね。いろいろあった」

「今日は一緒に私のベッドでする?」

「う、うん」

祐奈は小さくうなずいた。