第11話 祐奈としての生活が始まる

飛行機は羽田に着いた。快晴のいい天気だった。東原は、用事がある、と言って、祐奈と彩音と別れた。

「久しぶりの日本よ。まずは、祐奈のお部屋を確認しておかないとね。私は車だから、一緒に駐車場へ行きましょう」

彩音が微笑んだ。彩音は祐奈の前に立ち、キャリーバッグを引いて、駐車場へ歩いていく。ヒールがかつかつ鳴る。止めてある真っ赤なロードスターの前に止まる。

「祐奈は助手席にのって」

彩音はキャリーバッグを後部座席に放り込むと、運転席に乗り込んだ。彩音の運転するロードスターは都心へ向かっていく。見慣れた光景が広がっていく。祐奈は、日本へ戻ってきたんだという感慨が湧いてきた。祐奈は日本に戻れたことが嬉しかった。太陽は空の真ん中にあった。お昼あたりだろう。1時間ほどすると、車はあるマンションの地下駐車場へと入っていった。大きなマンションだった。

「このマンションが祐奈の住まいよ。女性専用マンションなの。男性は入れないわ。たとえ東原さんでも。私の部屋は隣よ」

ロードスターを駐車場に止めると、後部座席からキャリーバッグを引っ張り出し、地下にある玄関へ向かった。

「祐奈、これはあなたのカードキーよ。それは祐奈のもの。私が自分のを差し込むから、終わったら、自分のを差し込んで」

彩音がカードキーを差し込み、引き抜くと、祐奈は自分のものと渡されたカードキーを差し込み、引き抜いた。玄関が開いた。玄関を入ると、エレベーターがある。彩音が上のボタンを押して、しばらく待つとエレベーターがやってきた。祐奈は彩音と一緒に乗り込んだ。彩音が10階を押す。エレベーターは静かに昇っていく。10階につくと、ドアが開いた。

「祐奈は1005、私は1006よ」

そう言って、キャリーバッグをを引いて、ヒールをかつかつ鳴らして、進んでいく。

「祐奈の鍵を渡しておくわ。後で一緒にお昼を食べに行きましょう。呼びに行くわね。自分の部屋をよく見ておいて」

祐奈に鍵を渡すと、彩音は106へ消えて行った。祐奈は鍵で自分の部屋を開けた。もわんと、甘い女の部屋の独特の匂いがする。カーテンが閉まっている。祐奈はカーテンを開け、窓を開けた。いい風が入ってくる。10階の窓からみる景色は素晴らしいものだった。祐奈はさっそく部屋を見て回った。4部屋ぐらいある。リビング、寝室、ダイニング、ドレスルーム、それに大きなお風呂とトイレがある。

ドレスルームにはかつて祐奈が着ていたと思われる、さまざまなドレスが掛かっている。どれも派手で綺麗なものばかりだ。

寝室は広く、ベッドはキングサイズだ。大きな姿見があり、三面鏡の化粧台がある。部屋の一方はクローゼットになっている。こちらのクローゼットは祐奈が普段に着ていたと思われるブラウスやワンピースが入っている。その下は引き出しになっていて、色鮮やかなブラが詰め込まれている。その下はショーツが詰め込まれている。今はこれらは全て、祐奈のものなのだ。男だった時なら、興奮しただろうが、ニューハーフとしてずっと女の生活を送っている祐奈には見慣れたものでしかなかった。

祐奈はクローゼットを物色し、ブルーの縦縞のワンピースに着替えた。三面鏡の前で、化粧を整えた。

インターフォンが鳴った。バッグを持って、支度を整えて、玄関にでた。彩音だった。

「着替えたのね。お化粧も直してあるわね。とても綺麗だわ」

彩音が微笑んで褒めてくれた。

彩音のロードスターで、ちょっと郊外のイタリアンレストランへ行って、パスタを食べた。水を飲むグラスが、赤のリップで染まる。ニューハーフ村で女としての生活を送っていた祐奈は、すっかり女のように上品に、ソースをこぼさずに食べることができる。

「祐奈は本当に女らしいわね。東原さんが惚れ込んだのもわかるわ。本当の祐奈は香港で亡くなったのよ。東原さんがその代わりを探していたの。祐奈の子宮で祐奈の卵子で赤ちゃんが産めるように、女にできるニューハーフを探していたの。それで、奈々と雪子を見つけたんだけど、迷っているうちに奈々が売られちゃってね。急いであなたを買うことにしたの。あなたを買って正解だったともうわ。本当に祐奈そっくりなんだもの」

彩音が嬉しそうにそう言った。

「夕食は一緒につくりましょう。祐奈はお料理はできる?」

「お料理はできません。ごめんなさい」

そう言って、祐奈は下を向いた。

「大丈夫よ。教えてあげるわ」

その日の夕方、祐奈は、彩音の部屋で、可愛らしいフリルのついたエプロンでキッチンに立った。

「東原さんの奥さんになるんだから、お料理は覚えないとね」

祐奈は、彩音に教えられて、一緒にハンバーグをこねた。彩音と一緒にお料理をするのは楽しかった。1時間ぐらいでハンバーグや他のおかずが出来上がった。

「祐奈はすじがいいわね。すぐに上手になるわよ」

ご飯を食べ終わると、彩音が言った。

「綺麗に片付けたら、一緒にお風呂に入りましょう。新しい祐奈の体が見たいの」

お茶碗やお皿やお箸を洗って片付けた。

彩音の部屋のお風呂も祐奈の部屋のと同じくらい大きかった。祐奈は本物の女の裸は、美樹でよく知っていた。彩音はさっさと脱いで、全裸になる。祐奈も脱いだ。

「おまんこは脱毛してあるから、きれいなピンク色ね」

彩音と祐奈はお風呂で洗いっこした。美樹ともこうして入っていた。ただ違うのは、祐奈がすっかり女の体だということだ。湯船に浸かると、彩音が祐奈の乳首を触ってきた。

「きれいな乳首ね」

「彩音さんこそきれい」

そう言って、彩音の乳首を触り返した。彩音の乳首をこりこりすると、ああっ、と彩音が声をあげる。

「祐奈のおまんこを触っていい?どんな風になっているか興味があるの。本物と同じなのか興味があるの」

「ええ。いいわ。私もまだちゃんと触っていないの。本物の女みたいに感じるか不安なの」

「試してあげるわね」

そう言って、彩音は祐奈の新品のおまんこの小陰唇を左右に引っ張った。陰裂のてっぺんのこりこりするところを中指で押しつぶした。体に電流が流れるような感じがして、ああっ、とこれが出てしまう。

「ここが新しいクリトリスよ。私のと同じように感度がいいわね」

彩音は祐奈の指を導いて、自分のクリトリスをいじらせた。

「自分のも触ってみて。同じでしょう?」

祐奈は自分のクリトリスをいじってみた。彩音のを触った時と同じ感覚だった。彩音がさらにいじってくる。おまんこがじんじんと痺れる。膣口あたりが濡れているのがわかる。

「女の体で行くのは初めてでしょう。行かせてあげるわ。膣穴の浅瀬も気持ちいいのよ」

彩音は祐奈の新品のクリトリスをこりこりと右手人差し指で弄り回すと、左手の人差し指と中指で膣の浅瀬をかき回した。じんじんとほてり、快楽の波が発生する。クリトリスからも膣穴からも波が発生し、お互いに干渉しあい、大波になる。ああっ、いっちゃう、いっちゃう、と祐奈は声を上げた。彩音がさらに続けると、激しい快楽の電撃が祐奈の体を貫き、津波が意識を飲み込んだ。

「女の快楽は、男みたいに射精という出口がないから、何度でもいけるのよ」

祐奈のおまんこはまだ、じんじんしびれている。彩音はそれから数回、祐奈がぐったりするまで行かせ続けた。祐奈には、女として味わった初めての快楽だった。こんな快楽を妻の麗子は味わっていたのだ。祐奈には全く想像できない世界だった。今は、祐奈はそちら側の性に属する人間だった。

「ありがとう。彩音さん。今度は私がいかせてあげるわね」

祐奈は、自分と同じ構造の彩音のクリトリスや膣穴をいじくった。自分の気持ちのいい部分は、相手も気持ちがいいのだ。男と女はその互いの快楽を理解できないが、女と女なら分かり合える。どこが気持ちいいのかを。

強くクリトリスを押しつぶし、膣穴の浅瀬や入口をかき混ぜた。ああっ、いいっ、いっちゃう、いっちゃうと、声を上げて、お風呂場で彩音はなんども行ってしまった。

「女のからだって、こんなに気持ちがいいのね。ニューハーフだった時は、オナニーも一苦労なの。ちんぽがなくなって寂しかったけれど、女の体は素敵ね」

「そのクリトリスは、ちんぽの亀頭からつくってあるのよ。感度は何十倍も上がっているわ」

そう言って、彩音は祐奈に抱きついた。彩音の体は柔らかく、甘い女の匂いがする。

「祐奈はどこかにオナニーグッズを隠しているわ。私みたいにね。今晩はそれで遊んでね。すぐに東原さんに抱かれることになるんだから、おまんこをちゃんと締められるようにしておいたほうがいいわよ。それにはオナニーグッズで遊ぶのが一番よ」

その晩、祐奈はクローゼットの一番下に、祐奈が使っていた、祐奈の女匂の染み込んだオナニーグッズを発見した。それはピンクのバッグに入っていた。祐奈はこれで毎晩のようにオナニーをしていたのだ。それをこれからは新しい祐奈が使うのだ。

祐奈はそれをもって、ベッドに潜り込んだ。ベッドも微かに女の匂いがする。これからは祐奈が着ていた女物の服を着て、祐奈が使っていた化粧品を使って、祐奈が使っていたシャンプーやコンディショナーを使って、やがて、祐奈の匂いが染み込んで、新しい祐奈も、以前の祐奈と同じ匂いがするようになるのだ。

祐奈はベッドの中でショーツを下ろすと、新しいおまんこにそっと、祐奈の使っていたバイブを当てた。